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後編
しおりを挟む「だが、やりようはある」
朝早い時間の空気を揺らす声は低い。
「やりようはあるの!? 本当に!?」
思わず出てしまう大きめの声。
「ああ、奥の手がある。それは……慰謝料を多めにもぎ取るということだ」
「えっ」
「そういう仕返しはできる、ということだ」
「な、なるほど。そういうこと。仕返し、かぁ……何となく分かった」
その後、父とその知人の協力を得て、カイルから多めの慰謝料を取ることに成功。また、いきなりの婚約破棄という彼の身勝手過ぎる行いを世に出すこともできて、彼の評判を大幅に下げることにも成功した。
「良かったな、ひとまず償ってもらうことはできて」
「協力してくれてありがとう父さん」
「いいや! いやいや! 娘のために色々手を尽くすのは当然のこと! な~んにも気にすることはない」
こうして私とカイルの縁は切れた。
でもまぁ……それもまた運命だ、諦めるとしよう。
◆
あれから数年。
私たちは真逆のような人生を歩むこととなった。
私は、あるパーティーにて出会った事業家の青年と親しくなり、めでたく彼と結婚。それによって経済的な安定と素敵な家庭を同時に得ることができた。
彼は少々偏食なところのある人だが、その点以外には特に問題のない人。
だから私は彼を愛している。
……それに、偏食傾向は私も多少あるし。
一方カイルはというと、怪しい男と縁のある女性に惚れ込んでしまい、お金を散々搾り取られたうえ闇仕事に就かされてしまい逮捕されたそうだ。
今度こそ完全に終わったカイル。
彼は犯罪者となり、普通に生きてゆくことはできなくなってしまった。
◆終わり◆
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