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3話
しおりを挟む「彼のところへ行くなら母さんとは縁を切るから」
私としては母とはもう縁を切りたいのだ。
この機会を逃せば次のチャンスはなかなか巡ってこないだろう。
「ど、どうしてよ!? 私がいてこそのあなたでしょう!? 母娘の関係じゃない!!」
「もう絡まれたくないからよ」
「ケーキ買ってきてあげるから……ね? 機嫌直してちょうだいよ?」
「要らないわ、何も」
「じゃあ何かしてあげる! だから縁を切ったりしないで。母娘の関係でしょう? これは他の何より強い関係じゃないの……! ね……?」
母は今さら機嫌を取るようなことを言ってくるけれど、そんな言葉に価値などないと私はそう思う。
「何を言われても、縁は切ります」
だから私ははっきりとそう述べた。
◆
あれから数年。
私は今、王子プットと結ばれ、王城にて幸せに暮らしている。
彼が私をここへ連れてきてくれた。
そのことには感謝している。
あの地獄から私を連れ出してくれたのは外の誰でもない彼だ。
また、数年が過ぎてもなお、プットは私を純粋な意味で愛してくれている。
その点に関してもありがたく思っている。
だからこそ、私も彼のためにできることをやっていきたい。日々修行だが、母のもとで理不尽にこき使われる日々に比べればこのくらいどうということはないのだ。辛さはない。
頑張れば成果が出る、認められる――それだけでやる気になれる。
ちなみに母はというと。
あの後何度も私に会いに城へやって来た、が、私が面会したくないと前もって希望を出していたため入城を拒否されて。
それに激怒した母は「母親すら入れないのか!!」と数時間にわたって叫び続けた挙句包丁を取り出して暴れたために警備兵に拘束されたそうだ。
で、強制労働の地へと送られたようで。
以降彼女が一般の世に出ることはなかったようである。
◆終わり◆
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