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後編
しおりを挟む少し、間があって。
「エーシアとの婚約、破棄したいんだ」
彼はそう言った。
「俺は俺の選んだ道を進みたい、そう思って」
「え……?」
「だから俺、他のやつと結婚する」
「な、何を言い出すの、急に」
「エーシアのことは嫌いじゃないけどまぁ結局親友どまりなんだよな。ときめきがないっていうか。えーと、分かる? 一緒にいても高揚感がないんだ」
リックはそんな風に彼なりに説明をして。
「じゃ、終わりな」
関係を一方的に終わらせた。
――だがそれで許されるはずがなかった。
リックが正当な理由なく一方的に婚約破棄を突きつけたことを知った私の父は驚くくらいの勢いで怒りの炎を燃やした。そして、覆面を着けてリックのもとへ行き彼を捕まえると、半裸にさせて路上で尻を叩いた。その回数は十回ニ十回なんて可愛いものではなくて。少なく見積もっても百回以上はされていただろう、というくらいの回数。リックは一日中ただひらすらに尻やその周辺を叩かれた。
それが父から彼への罰であったのだが。
その罰によって腰の骨を痛めたリックは立つことさえもできなくなってしまったそうだが、犯人の正体が不明のため訴えることもできず、泣き寝入りするしかなくなった。
◆終わり◆
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