上 下
2 / 2

後編

しおりを挟む

 ◆


 早いもので、あれから九年が経った。

「ロレーゼ姉さん! 今度斧の扱いについて教えてください!」
「ええいいわよ」
「俺も俺も! 同時に指導してくださいっ」
「ええ、じゃあ、二人まとめて教えるわね」
「「やったー!」」

 私は今、王国軍の斧兵部隊にて働いている。

 職業柄周囲は男性ばかり。
 しかしそれでもそれなりに上手くはやれている――そんな気がする。

 恋なんてない。
 ロマンスも。

 でもそれでも私たちは皆仲間であり、平等に互いを大事にしあっている。

 今では指導を求められることもあるほどだ。

 ここでは身を鍛えても何も言われない。むしろ称賛されるくらいで。それによって損な目に遭わされることはない。

 私にしてみれば居心地の良い場所だ。

 ……それに、給料もかなりいい。

 もちろん危険は伴うわけだが、それでもそれ以上のやりがいがあるので辞めたいと思ったことはない。

 ちなみにオッヂはというと、あの婚約破棄から一年も経たないうちに三度も結婚詐欺に引っかかってしまい女性不信になったそうだ。で、今も一人実家で暮らしているらしい。今や女性と楽しく普通に会話することすらままならない状態だそうで。一応同居しているものの「早く結婚しろ」と執拗に言う親との関係も冷えきっているのだとか。オッヂにはもう味方はいない。


◆終わり◆
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...