昔「将来結婚しよう」と言い合っていた幼馴染みがいたのですが、再会した時彼は変わり果てていました。どうしてそんなことになったのか謎です。

四季

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前編

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「将来結婚しようね!」
「ああ! そうだな!」

 私とローバルトは幼い頃家が近所で仲良しだった。

 二人の関係に男女の壁などなくて。
 いつだって純粋に親友として一緒に遊んでいた。

「約束よ?」
「ああもちろん! 約束、する!」

 ある時、私たちはそんな約束をした。

 確か、ローバルトの家が引っ越すことになった時だったか――恋愛感情はなかったけれど、将来また一緒に暮らしたいという思いはお互いにあって、だからこそそういう誓いを言い合ったのである。

「大人になったら会いに来るな!」
「うん!」


 ◆


 だが、十年ほどが経ち、王都でローバルトと再会した時――彼は別人のようになってしまっていた。

「ローバルト様ぁ、もっともっとぉ」
「あたしの相手もしてちょうだぁ~い」
「ちょっと! 今日はあたいと楽しむのよ!」
「奪わないでぇ」
「独り占めは駄目よぉ~」

 ローバルトの父親が仕事で成功し金持ちになり、それによってローバルトにも女が近づいてくるようになったようで。いつからか女と遊ぶことの楽しさに目覚めたローバルトは、毎晩のように何人もの女といちゃつくようになったらしくて。

「ローバルト、覚えてる? 私……」
「え、君誰? 知らない。けど、俺に可愛がられに来たのならオッケーだよ?」

 しかも、彼は私を覚えていなかった。

「……忘れてしまったというの」
「は? 何だよ急に、そんな顔して」
「私よ! 昔結婚しようって約束したじゃない!」
「何言い出すんだよキモ」
「幼馴染みだったでしょ? 近所に住んでいて……」
「……ああ、あの時のか。それならもう消えた約束だ」
「え」
「そもそも、さ。あんな子どもの頃の約束、いつまでも胸に置いてるわけないだろ。ははっ、もしかしてあんたはずっと置いてたのか? 気が長いやつだな」

 彼は私を馬鹿にしたように笑う。

「そんな約束、もうどうでもいいだろ」
「どうしてそんなこと!」
「だって子ども同士の話だし、ネタみたいなもんだろ」
「……本気で言っているの?」
「ああ当然だ! 俺はここで生きていく、これからもいろんな女と遊びながら」
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