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婚約破棄から十五年、今はとても幸せです。
しおりを挟む婚約破棄から十五年。
私は今、家族のように愛おしい人と共に生きている。
「見て、これ。クッキー買ってきてみたんだ」
「えっ」
「ほらこれ、君好きだろう? こういうの」
「あ! ラズベリーソース!」
夫である彼は今や私の半身のようなものだ。
絶対に欠けてはならない存在。
「確か前好きだって言ってたなぁ、と」
「好き!」
「良かった。じゃああげる」
「いいの?」
「もちろんだよ」
「じゃあ……一緒に食べる?」
「一人で食べていいよ、好物なんだし」
私たちは大抵どうでもいいような会話ばかりしている。でもそれがいい。それが心地よいのだ。彼とだからこそできる、細やかな幸せを感じられるような会話。
「でも……」
「何か問題がある?」
「一緒に食べる方がきっと美味しいわ、そんな気がするの」
彼と出会ったのは、私が、当時の婚約者に婚約破棄を告げられて落ち込んでいた時だった。
私たちはすぐに仲良くなった。
ある種の運命を感じた。
彼はいつだって優しかった。
弱っている私を支えてくれて、面倒くさがらず話を聞いてくれて、付き合ってくれて。
だからこそ、私は彼を愛したのだ。
「それは、一緒に食べようって誘ってくれているってことかい?」
「そうね、そんな感じ」
「……ありがとう。じゃあ、そうするよ」
「本当!?」
「たまにはいいかもね、そういうのも」
「やった! 嬉しいわ。じゃあ一緒に食べましょ。お茶を淹れて」
「淹れてくるよ」
「何から何まで……ごめんなさい、頼ってばかりで」
「ううん、いいんだ。やりたくてやっているだけだから。任せて!」
「いつも本当にありがとう……!」
私は彼と共に生きてゆく。
きっとこれからもずっと。
死ぬまで一緒にいたい、私はそう思っている。
◆終わり◆
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