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後編
しおりを挟む「ああ! とてつもなくお美しいお名前!」
「それは言い過ぎです……」
言葉を交わしているうちに段々彼の良いところが見えてきた。
「ええ!? どういうことです!? おかしかったですか!?」
「褒め過ぎです、ということです」
「うそぉ!? 褒め過ぎィ!? いやいやいや、純粋な思い、感想ですよ! それ以下でもそれ以上でもありません!」
――そうか、彼はいつだって本気なのだ。
彼は自分を飾らない。
彼は自分を偽ることなく動いている。
つまり、いつだってありのままの姿なのだ。
そこから私たちは親しくなっていった。
◆
あれからニ年半、私はエディットと結婚した。
「エーミリアさん! 今日もとてもお美しい!」
「まだ言うのね……」
「え!? 駄目でしたか!?」
「もう出会ってから一年以上経ったじゃない」
「それは……そう、ですけど……」
彼は今も真っ直ぐだ。
そしてたびたび私のことを褒めてくれる。
「けど! 本気なんですよ! 僕は本音しか言いません!」
ちょっぴり恥ずかしい、けど……褒めてもらえることや大事にしてもらえることというのは嫌なことではない。
「ありがとう、分かっているわ」
「分かってるんかーい!!」
「何よそれ、何のネタ?」
「ご、ごめんなさい……ふざけすぎました……」
「ふふ、さすがエディット」
「さすがって……そこを言われてもいまいち嬉しくないですー……」
ちなみに元婚約者の彼はというと、馬車の事故で記憶喪失になり親から「記憶喪失になった人間の世話なんて面倒臭い」と言われたうえ山に捨てられたそうだ。
で、そのまま山中にて飢え死にしたそうだ。
◆終わり◆
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