2 / 2
後編
しおりを挟む「ああ! とてつもなくお美しいお名前!」
「それは言い過ぎです……」
言葉を交わしているうちに段々彼の良いところが見えてきた。
「ええ!? どういうことです!? おかしかったですか!?」
「褒め過ぎです、ということです」
「うそぉ!? 褒め過ぎィ!? いやいやいや、純粋な思い、感想ですよ! それ以下でもそれ以上でもありません!」
――そうか、彼はいつだって本気なのだ。
彼は自分を飾らない。
彼は自分を偽ることなく動いている。
つまり、いつだってありのままの姿なのだ。
そこから私たちは親しくなっていった。
◆
あれからニ年半、私はエディットと結婚した。
「エーミリアさん! 今日もとてもお美しい!」
「まだ言うのね……」
「え!? 駄目でしたか!?」
「もう出会ってから一年以上経ったじゃない」
「それは……そう、ですけど……」
彼は今も真っ直ぐだ。
そしてたびたび私のことを褒めてくれる。
「けど! 本気なんですよ! 僕は本音しか言いません!」
ちょっぴり恥ずかしい、けど……褒めてもらえることや大事にしてもらえることというのは嫌なことではない。
「ありがとう、分かっているわ」
「分かってるんかーい!!」
「何よそれ、何のネタ?」
「ご、ごめんなさい……ふざけすぎました……」
「ふふ、さすがエディット」
「さすがって……そこを言われてもいまいち嬉しくないですー……」
ちなみに元婚約者の彼はというと、馬車の事故で記憶喪失になり親から「記憶喪失になった人間の世話なんて面倒臭い」と言われたうえ山に捨てられたそうだ。
で、そのまま山中にて飢え死にしたそうだ。
◆終わり◆
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
誰でもよいのであれば、私でなくてもよろしいですよね?
miyumeri
恋愛
「まぁ、婚約者なんてそれなりの家格と財産があればだれでもよかったんだよ。」
2か月前に婚約した彼は、そう友人たちと談笑していた。
そうですか、誰でもいいんですね。だったら、私でなくてもよいですよね?
最初、この馬鹿子息を主人公に書いていたのですが
なんだか、先にこのお嬢様のお話を書いたほうが
彼の心象を表現しやすいような気がして、急遽こちらを先に
投稿いたしました。来週お馬鹿君のストーリーを投稿させていただきます。
お読みいただければ幸いです。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる