上 下
2 / 2

後編

しおりを挟む
 婚約破棄されるなんて思っていなかった。
 それゆえ悲しさや悔しさもあって。
 けれども過去に執着するのはやめることにした。

 なってしまったものは仕方がない。

 過去に執着してあれこれ考えるより、これから生きる未来について考える方が有意義だ。


 ◆


 あれから数年、私は本屋の店主として忙しくも充実した日々の中にある。

 私は結婚はしなかった。それについて周囲からああだこうだと言われたことはある。でも私は気にしなかった。本屋を営むというずっと前に一時期抱いていた夢を叶え、今は楽しく暮らしている。周りの声はそんなに気にしない。言いたければ何とでも言えばいい、それはその人の意見だ。

 ちなみに、両親はこの人生に賛成してくれている。

 その点はありがたい。

 そうそう、あれ以来一度も会っていないエルフォボスだが、噂によれば彼はあの後結婚したらしい。しかし、結婚してからも何人もの恋人を作り、それが原因となってある時妻と大揉めになったらしい。

 喧嘩中、エルフォボスは衝動的に妻を突き飛ばしてしまい、妻は石の階段から転落して死亡。

 そのことによってエルフォボスは殺人犯になってしまったそうだ。


◆終わり◆
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...