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6話「ここで生きていく」
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そして儀式は始まった。
私は水晶玉の前に座る。
ちなみにその水晶玉は人間たちの世界を見ることができる精霊族の宝具だそうだ。
「では開始とする!!」
洞窟内に、精霊王の声が響いた。
◆
儀式の効果は凄まじかった。
その夜、リリアンネは自室にいるところを侵入してきた山賊に誘拐され、山奥へと連れ去られた。アオスもまた同じように自宅から連れ去られ、山奥へ。二人は山奥にある山賊の基地で合流することとなる。
リリアンネはアオスの目の前で山賊たちに殴る蹴るの暴行を加えられ、数日は耐えたが、やがて落命する。
その様子を目にしたアオスは泣き叫びまともな言葉は発することができなくなった。
その後、口封じのためか、アオスも喉を切られて亡くなった。
◆
「これで望みは叶ったことにしようか」
数日にわたる儀式を終えた精霊王がそんなことを言ってくる。
「はい」
返すのはそれだけ。
「では、妻のお試し期間に入ってくれるな?」
「……はい、約束ですので」
「ああ、そう恐れるな。大丈夫、殺しやしない」
「よろしくお願いします」
こうして私の人生もまた変わった。
◆
あれから数年。
私は精霊王の妻として幸せに暮らしている。
彼は意外と怖くなかった。
そして、女性関係に関しては特に誠実だった。
私ももう恨みに囚われてはいない。
今は前を向くことができる。
ここで生きていく。
それが私の幸せ。
◆終わり◆
私は水晶玉の前に座る。
ちなみにその水晶玉は人間たちの世界を見ることができる精霊族の宝具だそうだ。
「では開始とする!!」
洞窟内に、精霊王の声が響いた。
◆
儀式の効果は凄まじかった。
その夜、リリアンネは自室にいるところを侵入してきた山賊に誘拐され、山奥へと連れ去られた。アオスもまた同じように自宅から連れ去られ、山奥へ。二人は山奥にある山賊の基地で合流することとなる。
リリアンネはアオスの目の前で山賊たちに殴る蹴るの暴行を加えられ、数日は耐えたが、やがて落命する。
その様子を目にしたアオスは泣き叫びまともな言葉は発することができなくなった。
その後、口封じのためか、アオスも喉を切られて亡くなった。
◆
「これで望みは叶ったことにしようか」
数日にわたる儀式を終えた精霊王がそんなことを言ってくる。
「はい」
返すのはそれだけ。
「では、妻のお試し期間に入ってくれるな?」
「……はい、約束ですので」
「ああ、そう恐れるな。大丈夫、殺しやしない」
「よろしくお願いします」
こうして私の人生もまた変わった。
◆
あれから数年。
私は精霊王の妻として幸せに暮らしている。
彼は意外と怖くなかった。
そして、女性関係に関しては特に誠実だった。
私ももう恨みに囚われてはいない。
今は前を向くことができる。
ここで生きていく。
それが私の幸せ。
◆終わり◆
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