浮気性の婚約者、また浮気しました!? どうやら彼には浮気せず生きるということが不可能のようです。

四季

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後編

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 当たり前でしょう? もう許せないのよ、あまりにも回数が多過ぎたの。一度や二度じゃない、なかった、だから私はもう限界なの。過激すぎる? 酷い? 馬鹿なことを言わないで。私はこれまで多くのことに耐えてきた、浮気だって謝罪だけで見逃してきた、けれどもそれはもう無理なの。我慢の限界、というやつよ。だから終わりが来た、別れの時が来た、ただそれだけ。

 ……きっともう、一生会うことはないでしょうね。

 せいぜいお元気で。


 ◆


 デーベルハイドと離れてからというもの、私にはやたらと幸運が舞い込むようになった。

 まるで彼が不幸を招く神であったかのよう。
 それほどに我が人生は大きな変化の瞬間を迎えたのである。

 まず、軽い気持ちで始めた仕事で成功を収め、事業がとんでもなく大きくなって驚くくらいの富を得ることとなった。
 また、私の知名度によって父親が営んでいた店まで急激に有名になり、それによってまたまた富が舞い込んでくることとなる――親のところにまで多くのお金が流れ込んでくることとなった。
 さらに、私には良き出会いがあって、その人との関係性が結婚という将来を見据えられるくらいにまで進展していっている。

 こんな急激に変わることってあるのだろうか、なんて思いもするが。

 でも今はこの幸運の波に乗って生きていこうと考えている。

 人に、世に、見えない力にも、感謝して――そうやって前を向いて歩んでゆけたなら――その道にはきっと色鮮やかなたくさんの幸福が存在しているに違いない。

 そうそう、そういえば、だが。

 デーベルハイドはあの後別の女性と結婚したそうだが、結婚後も驚くくらいの早さで何度も不倫を繰り返したそうで、それによって夫婦仲は最悪なものとなってしまっているそうだ。

 もうじき離婚することになるのではないか、と、彼の周囲の者たちは話しているとか。

 だがそれはそうだろう。
 ある意味当然のことだ。
 結婚しておきながら妻以外の女にばかり構うなんて、人として論外なのだから。

 相変わらずデーベルハイドは「許してほしい、遊びだったんだから本気じゃないから」とか言っているようだが――まぁ恐らく許してもらえることはないだろう、彼にはこれから相応の罰がくだるはずだ。


◆終わり◆
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