別人になっていることに気づいた瞬間婚約破棄を告げられました。が、それでも私は幸せになれました。今ではもう何も困っていません。

四季

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3話「幸福を掴む」

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「あの……ラベール」
「何?」
「私たち、結婚しませんか」

 言うと、時が止まった。

 彼は目を大きく開いて固まっている。

 ……まずかったか?

「もし嫌ならはっきりそう言っていただいて大丈夫ですよ」

 一応言ってみると。
 制止していた彼は一気に頭を下げた。

「ぜひ……お願いします」

 彼の口から出たのは良い答えだった。


 ◆


 その後私はラベールと結婚。
 で、療養のためとか何とか理由をつけてマリーの実家からは離れた。

 というのも、マリーの両親は少々厄介そうな人だったのだ。その人たちと上手くやっていく自信は私にはなくて。だから、申し訳ないが、彼らとは離れることにした。

 そしてラベールの実家へ入れてもらった。

 豪快な父親、おっとりしている母親、飼っている犬、そしてラベールと私。

 穏やかに暮らせている。

「ねえマリー! 聞いた?」
「何?」
「マリーを婚約破棄したあの男さ、結婚詐欺に遭って全財産を失ったんだってー」

 今は昼御飯の時間。
 ラベールは一時的に家へ帰ってきている。

 私も、彼も、彼の母親が出してくれた料理を食べているところだ。

「そ、そうなの!? どこ情報?」

 口に含んでいた牛乳を吹き出しそうになってしまった。

「ニュースになってたよ」
「ええ……そんなことってあるのね」
「マリーにしておいた方が良かったんじゃーって話が出てたね! ま、マリーはもう僕のものだし、手遅れだけどさっ」
「人生って何があるか分からないものね」
「うん! ま、それは僕にも言えるけどさ」

 首を傾げると。

「マリーはずっと憧れでも手の届かない人だったからさ。まさか結婚できるなんて、そんなこと思っていなかったんだ。マリーとは何もかもが違うから。だから一緒に生きるなんて無理だって思っていたよ」

 ラベールは機嫌良さそうにパンを齧っている。

「でもこうなれた! マリーと一緒になれた! 夢みたいだよ」
「こちらこそありがとう。記憶喪失になってしまったのに相手してくれて」


◆終わり◆
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