私、今日婚約者に捨てられました。~奇跡のハッピーライフが待っていました、最高!!~

四季

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後編

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 ◆


 ――あれから数年、私は今も彼女と暮らしています。

「ねえ聞いて! 今日ね、とても美味しいお茶が手に入ったの!」
「えっ」
「じゃーん! これ、最高級のティーよ」
「ティーよ、て」
「ふふっ、変だったかしら? やっぱりそうよね変よね。でもいいの! ただのノリだから!」

 彼女は資産家の娘で元々裕福な暮らしをしていました。
 私はそこに入れてもらったような形です。
 けれどもそういう形を作ろうと先に言い出したのは彼女だったのです――嘘みたいな話かもしれませんが。

「じゃあ早速淹れてくるわね!」
「え、いいわ、たまには私が」
「あら、淹れてくれるの?」
「あ……でも、美味しくないかも……」
「淹れたい、ってこと? それとも気を遣ってそう言っているだけ?」
「……たまには何かしたくて」
「そう! ならお願いしようかしらっ。嬉しいわ! ぜひぜひ」

 ……そう、彼女はとにかく可愛いのです!!

 だから私は今幸せ。

「下手でも怒らない……?」
「もちろん!」
「じゃあやってみる……」
「大丈夫? 手がぷるぷるしているけれど」
「頑張る!」
「わぁ! やる気が凄い! 応援しているわ、楽しみっ」

 ちなみに、かつて私を切り捨てた彼は、今は土の下にいるそうです。

 何でも、ややこしい女性と結婚し、不倫したことを理由に殺められたのだとか……。

 恐ろしい話です。
 けれども少し「ま、いつかはそうなるよね」と思っている部分もありました。

 とはいえ、もちろん人殺しは犯罪ですから、その罪をなきものとして扱う気はないのですけどね。

「で、できた……」
「大丈夫? 手がまた震えているわよ」
「ごめん、慣れてなくて……」
「可愛いんだからっ」
「いやそれこっちのセリフ」
「あら、どういうことかしら?」
「可愛いのは私じゃないってこと……可愛いのはそっち……」
「ふふっ、嬉しいこと言ってくれるわね!」

 ――私は今とても幸せです!!


◆終わり◆
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