1 / 2
前編
しおりを挟む私たち、ずっと一緒にいられると思ってた。
だって仲良しだったし婚約だってしていたんだもの、普通はそう思うでしょう?
二人の道は未来まで伸びていると。
実際に関係も進展していたのだから、そう考えてしまうのが当たり前でしょう?
でもそれはある時急に崩れてしまったの……。
「ごめん、君との婚約破棄するわ」
「え……」
その日は突然やって来た。
婚約者の彼ヴォーヴィスが終わりを告げてくる日は。
「この前さ、仕事場の後輩と酔っ払った勢いで仲良くしちゃってさ。それで、向こうの親から『責任を取って結婚しろ!』って言われてるんだ」
「何よそれ……」
「だからまぁこれもいい機会かなって。ちょうど君には飽きてきていたところだったし、そっちに行こうかなって思って。それで今日こんな話を振ったんだ」
彼は正直だった。
それは良いことではあるのだけれど――でもやはりどうしても傷ついてはしまう。
「私を捨てるのね」
「うん、そういうこと」
彼の面には笑みすら浮かんでいて。
どうやら彼は私の心なんて一切気にしていないようだ。
「ごめんな、急に。じゃ、そういうことなんで。さよなら」
「待って! 勝手過ぎるわ」
「何だよ急に、もう理解したんだろ? だったらしつこくあれこれ言うなよ、鬱陶しい」
「鬱陶しい? そんな言い方はないわ……、急に婚約破棄なんて告げておいて。そんなの酷過ぎよ」
言えば。
「うっるさいなぁ!!」
ヴォーヴィスは急に調子を強めてきた。
「いいから去れよ!!」
そうして私は彼の前から去らされることとなったのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる