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後編
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あの後、ヴォーヴィスは後輩の女性と結婚したらしい。
そして今は、女性の親と同居させられ、居場所なんてない――そんな息苦しい生活を強要されているのだそうだ。
ヴォーヴィスは最近心を病みつつあるようだ。けれどもそんなことは私からすればどうでもいいことで。むしろ、幸せに暮らしているよりざまぁみろと思えて良いくらいも部分もある。
精々、こき使われれば良いのだ。
私という犠牲の上に立って得た今の居場所で苦しめばいい。
「……後悔すればいいのよ」
◆
あれから十年、私はどこかおっとりしたそれでいて寛容な心の持ち主である男性と結婚した。
「ママ! 今日卵焼きが食べたい!」
「そう? じゃあ作るわ」
今では私も二児の母となっている。
「やったー!」
家はとても賑やかだ。
忙しいけれど毎日不幸ではない。
「ぼくも! ぼくも卵焼き!」
「もちろんよ」
「やった! 嬉しい! ぼく、卵焼き大好きー!」
特に、夫が経済的に裕福なのはありがたいことだ。
「ただいま~」
「あ、お帰りなさい。今夜は卵焼きよ」
「えっ、珍しいね」
「子どもたちが」
「ああ、好きだもんね~、卵焼き。うんうんでも本当に美味しいしなぁ」
ちなみにヴォーヴィスはというと、妻の両親にこき使われたために心を病んで仕事もろくにできない状態となってしまい、やがて「使えない」と言われて施設送りにされたそうだ。
その施設は裏で人体実験をしている施設らしく、彼は今、実験体となっているのだとか。
……ま、べつにもうどうでもいいけれど。
◆終わり◆
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