すぐ怒る厄介な婚約者なら貴女にあげますよ。~奪い取りたいならどうぞご自由に~

四季

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前編

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 いつからだろう、私は妹リリエから虐められるようになった。

 姉のものは自分のもの、彼女はそう思っているようで。彼女はいつも私のものを奪い取っていた。それも、それが当たり前であるかのように。

 そして、彼女は、私の婚約者をも奪い取った。

 私にはエルベという婚約者がいたのだが……。

「エルベ様はわたくしのものですわ! お姉様はもっとダサい男と結ばれれば良いんですのよ!」

 彼もリリエに奪われた。

「婚約者を奪うとか、さすがに酷いわ」
「はぁ? なーに勘違いしていますの? エルベ様に相応しいのはわたくしに決まっているでしょう!」
「そう……ま、そうね、分かったわ」
「そういうことですわ! では!」

 けれども、エルベに関しては、妹に貰ってもらえると嬉しい。

 なぜなら彼は少々怒りやすい人だからだ。
 彼は顔面は悪くないのだけれど性格に難がある。

 だから妹に貰ってもらえるならその方がありがたいのだ。

 リリエは何も知らないからエルベを素晴らしい男性だと思っているのである。

 私とエルベの婚約は破棄となり、代わりにリリエがエルベと婚約することとなった。もとより私より妹を可愛がっている両親は、リリエが望む相手と結ばれたことを大層喜んでいた。

 まぁいい……呑気に喜んでいられるのも今のうちだけ……。

 その婚約破棄を機に、私は家を出ることにした。
 これを機に自由に生きていきたいと思ったからである。

 私は単身都会へと出た。
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