私のことをいつも醜いと言っていた婚約者は理想の女性に拒否されたため私のところへ戻ってきたのですが、再びの婚約を断ると暴れ自滅しました。

四季

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後編

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 ――だがその後マトレフスミーは私のところへ戻ってきた。

「……もう一度、婚約してやる、感謝しろ」
「え? え? あの、何ですか?」
「うるさい! 馬鹿にしてるんだろう!」
「いえ、あの……」
「だから言っただろう! エミィに拒否されたって! 何度も言わせるな馬鹿!」
「えええ!」

 彼が言うには、プロポーズしたところ酷いことをあれこれ言われてしまって拒否されてしまったそうなのだ。

 なんてこと……。

「そんな……」
「いいか? じゃ、そういうことだから、俺ともう一度婚約しよう」
「ごめんなさい、嫌です」
「なっ!?」
「嫌です」
「お、お……お、おま……おまえぇぇぇぇぇぇぇぇ……許さん許さん許さんんんんんんんんん!!」

 激昂したマトレフスミーは傍にあった花瓶を手に殴りかかってきたが――たまたま通りかかった近所のおじさんが助けてくれて、それによって私は命拾いした。

 その後マトレフスミーは他人に暴行を加えようとした罪人として拘束され、労働刑に処され、それによって社会的地位もまた失うこととなった。

 今や罪人となった彼に人権はない。
 とにかく働かされ続ける、そんな日々の中に生きることとなったのだ。

 そんな中においては美醜など何の関係もない。

 彼はひたすらに奴隷のように扱われるのである。

 ちなみに私はというと、その後家の近くの花屋に手伝いとして入ることとなった。で、そこで数年働いた後、もっと大きな街にある花屋に移って働くことになって。その店に常連客として通っていた資産家の青年と親しくなり、その後彼と結ばれた。

 彼と初めて喋った日も、彼と初めて二人で会って色々話した日も、結婚式を挙げた日も――思えばとても良く晴れた日だった。


◆終わり◆
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