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前編
しおりを挟む私は五人姉妹の末の子だ。
五人のうち私はまだ若いのでそういうことには無関係なのだけれど、姉四人は既に婚約者がいる。
だが、ある日、まさかのことが起きた――。
「何よこれっ! 婚約破棄!?」
朝一番に騒ぎ出したのは長女。
彼女はいつも婚約者と文通をしているのだが、そこに書かれていたのだ『関係を終わらせることにした、ので、婚約は破棄とします。文通もやめます、さようなら』と。
その直後、三女の婚約者の家から遣いがやって来て。
「失礼ですが、婚約は破棄とのことです」
「えっ……!?」
「坊ちゃまは他に好きな女性ができたそうで、それで、関係を解消するとお決めになったのですよ」
「そんな勝手な!」
「ですが、決まったことです。私は伝えるだけの役ですので、これにて失礼いたします」
三女も婚約破棄された。
さらに、次女は婚約者から呼び出され、昼過ぎに帰ってきた時には見たことがないくらい号泣していた。彼女が涙ながらに言うには、「髪色に飽きた」と言われ婚約破棄を告げられてしまったそうなのだ。
そしてその日の晩、四女の婚約者が亡くなったという情報が入ってきた。何でも、その人は姉以外の女性と定期的に会っていたそうで、そのデートの最中に崖崩れに巻き込まれて死亡してしまったそうだ。
こうして、姉四人、全員が婚約破棄されてしまった……。
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