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前編
しおりを挟む「じゃあ婚約しよう」
「はい!」
ずっと憧れていた青年オリバーと婚約できることとなった、爽やかな晴れの日。私は幸福の頂点に在った。なぜって、簡単なこと。職場でずっと憧れていた彼に選んだもらえたから。それはどんな出来事よりも嬉しい出来事だ。
「これからよろしく、リナさん」
「はい……! 尽くすようにします……!」
「ありがとう、それは助かるよ」
「はい、何でも言ってください……!」
しかし、その直後、一本の電話が入って。
「……はい、あ、はい、承知しました……あ、ああ、はい……本当ですか! ありがとうございます! では、はい……はい、あ、はい……ぜひ! よろしくお願いします! はい、ええ、はい……ありがとうございます! では! はい、失礼します」
その電話の後。
「悪いな、リナ。婚約は破棄とさせてもらう」
オリバーは急にそんなことを言ってきた。
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