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後編
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あれから五年。
「ねぇねぇ、ちょっといいかなぁ」
「はい」
私は結婚した。
この国の王子フリランと。
ヘブンズヘートには捨てられたけれど、親からも親戚からも価値の低いもののように扱われて来たけれど、フリランは違った。
彼は私を一人の人間として見てくれている。
そして可愛がってくれている。
「はいっ」
「え」
「プレゼントだよ!」
彼の手には小さな箱。
そしてその中には可愛らしい小ぶりな花束が入っている。
「これって……」
「薔薇好きって言ってたよねぇ」
「あ、は、はいそうなんです」
「綺麗な薔薇のがあったからさ、贈ろうと思って!」
「そんな……その、ありがとうございます」
私は今幸福の中にいる。だってこんなにも大事にされているのだ。彼と歩むたび生まれて初めての経験が増える。嬉しいことだ、それはとても。彼とならまだ見たことのない未来を見られる気がする。
「気に入ってもらえそうかなぁ」
「はい! とても!」
「ほっ、良かったぁ。ちょっと自信なかったんだぁ」
「嬉しいです」
ヘブンズヘートはあの後どうしても諦められず姉を追い掛け回したそうで、その追い掛けがあまりに酷かったために迷惑行為とみなされ、治安維持組織に拘束されてしまったそうだ。
彼はそれ以来ずっと牢にいるそう。
朝から晩まで無賃で働かされ、食事は余り物の冷えて不味いものばかり、自由時間はほとんどなく、身体を洗えるのも週に一回あるかないかくらいしかない――そんな生活だそうだ。
一方姉はというと、ヘブンズヘートに追い掛けられた時の恐怖が原因となって男性に対して恐怖を感じるようになり、父以外の男性が近づくと気を失うようになってしまったらしい。
ま、もはや私には関係のないことだが。
◆終わり◆
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