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23話 「誕生日が祝われない?」
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「誕生日パーティー中止っ!?」
たった今、王の家臣の一人から信じられないことを告げられ、私は頭が真っ白だ。
こんなことって……。
いよいよ建国記念祭が二日後に迫ってきた。王国は大忙し。でもなんだか楽しい雰囲気でもある。そんな中で明日、私は誕生日を迎える。
毎年私の誕生日には盛大な誕生日パーティーが行われる。この日ばかりは王である父も参加し、みんなで盛り上がるのだ。
例年そのパーティーが建国記念祭の前夜祭のような感じになっているのに、それが今年に限ってないなんて! 理由を問いただすと王の家臣は「侵攻の被害が酷くてパーティーどころでないから」と説明した。全部ライヴァンのせいじゃない!
イライラしているところに、エリアスがやって来た。
「王女、何のお話をなさっていたのですか」
「ちょうどいいところに来てくれたわね。エリアス、少し話し相手をしてくれる?」
苛立ちを彼で発散するのはすまない。しかし今は発散しないと爆発しそうだ。彼なら文句を聞かせてもきっと受け入れてくれるはず。
「王女が自ら私に話を? なんだか照れてしまいます」
エリアスは嬉しそうにはにかむ。多少ずれている気もするが彼らしいといえば彼らしい。
流れのまま私はエリアスに誕生日パーティーが中止になったことを話した。聞き上手な彼に文句を聞いてもらっていると段々怒りが収まってくる。
「でも不思議だわ。エリアスに聞いてもらったらイライラがましになってきた。ありがとう」
「そんな。お礼を言われるほどのことはしておりませんよ」
エリアスは静かに微笑んでそう言い、それから真剣な表情になって続ける。
「それにしても王女の誕生日パーティーを中止するなど実におかしな話です。理解に苦しみますね。何を考えているのやら」
「まったくその通りだわ。ライヴァンが余計なことしてくれたおかげね」
私は溜め息を漏らす。誕生日パーティー、楽しみにしていたのに。
「では今年のパーティーは小規模で行いますか?」
「小規模?」
「はい。内輪だけで王女の誕生日パーティーを行うのです。ドアの修理も終わっていますし、王女の自室でなら文句は言われないでしょう」
今まで自室で誕生日パーティーはしたことがない。しかし、なんだか楽しそうだ。
「楽しそうね。エリアス、名案だわ。あ……でもヴァネッサが許してくれないかも……」
「アンナ王女!」
ヴァネッサは駆け足で私とエリアスのところへやって来る。
「アンナ王女、誕生日パーティーが中止とは本当ですか!?」
彼女もどこかで聞いたようだ。説明する手間が省けて得をした。
にしても、彼女も驚いているのは意外だ。
「私も言われたわ。侵攻の被害のせいですって。酷い話よね」
それを聞きヴァネッサは難しい顔をする。
「困りました。もう呼んでしまったというのに……」
「何を呼んでしまったの?」
「パーティーに備えて歌手と手品師を呼びました。そろそろエンジェリカに到着する頃だと思うのですが……仕方ありませんね。キャンセルしてきます」
ヴァネッサは残念そうに言った。彼女は彼女なりにパーティーを盛り上げる用意をしてくれていたのだろう。
「ヴァネッサさん! 少し待って下さい」
この場を去っていこうとしたヴァネッサをエリアスが呼び止める。
「王女の誕生日パーティーは行います」
「はぁ? 何を言っているの。パーティーは中止だと貴方も聞いていたはずよね」
ヴァネッサは呆れ顔になるがエリアスは気にせず続ける。
「我々だけで王女の誕生日パーティーを開くのです。一年に一度しかない誕生日を祝わないなど、貴女だって嫌でしょう?」
「それはそうね。でも中止と言われれば中止だわ」
エリアスの眉が微かに動く。
「ヴァネッサさん、貴女はどうしてそんなに無情なのです。王女のために何かして差し上げたいとは思わないのですか?」
彼から発されている聖気が珍しく乱れている。表情からは読み取れないが、怒りスイッチが入ってしまっているみたいだ。
「そんなことを言われる筋合いはないわ。そもそも貴方はアンナ王女を甘やかしすぎではないの?」
ヴァネッサは露骨に不快そうな顔をしてエリアスに鋭い視線を向ける。
「そうやっていつも貴方が甘やかすからアンナ王女がまともに成長しないのでしょう!」
何それ、酷い。確かに間違いではないけどいきなり言われるとさすがにダメージを受けるわね。ちょっと傷ついたわ。
「貴女は何を言い出すのです! 王女は立派ではないですか!」
堪忍袋の緒が切れたらしくエリアスは激しく言い放った。
「事実を言ったまでよ」
「王女を侮辱するというのなら護衛隊長として見逃すわけには参りません!」
「私は本当のことしか言っていないわ」
「ヴァネッサさん! よく王女の目の前でそのようなことを!」
見るまに空気が気まずくなっていく。喧嘩しているのは二人なのに、なぜか私が一番この場にいづらい。
「はいはーい。そこまでー」
二人の言い合いを、突然呑気な声が遮った。ノアだ。
「ヴァネッサさん! エリアス! 無意味な喧嘩は止めようね!」
ジェシカの明るい声が続く。
「ジェシカさん! ノアさん!」
今の私には二人が救世主に見えた。まるで今までずっと隠れて見ていたかのようなナイスタイミング。
「二人が喧嘩してたら王女様が泣いちゃうよー」
「そうそう! 仲良くしようよ。王女様もその方がいいと思ってるよねっ!」
たった今、王の家臣の一人から信じられないことを告げられ、私は頭が真っ白だ。
こんなことって……。
いよいよ建国記念祭が二日後に迫ってきた。王国は大忙し。でもなんだか楽しい雰囲気でもある。そんな中で明日、私は誕生日を迎える。
毎年私の誕生日には盛大な誕生日パーティーが行われる。この日ばかりは王である父も参加し、みんなで盛り上がるのだ。
例年そのパーティーが建国記念祭の前夜祭のような感じになっているのに、それが今年に限ってないなんて! 理由を問いただすと王の家臣は「侵攻の被害が酷くてパーティーどころでないから」と説明した。全部ライヴァンのせいじゃない!
イライラしているところに、エリアスがやって来た。
「王女、何のお話をなさっていたのですか」
「ちょうどいいところに来てくれたわね。エリアス、少し話し相手をしてくれる?」
苛立ちを彼で発散するのはすまない。しかし今は発散しないと爆発しそうだ。彼なら文句を聞かせてもきっと受け入れてくれるはず。
「王女が自ら私に話を? なんだか照れてしまいます」
エリアスは嬉しそうにはにかむ。多少ずれている気もするが彼らしいといえば彼らしい。
流れのまま私はエリアスに誕生日パーティーが中止になったことを話した。聞き上手な彼に文句を聞いてもらっていると段々怒りが収まってくる。
「でも不思議だわ。エリアスに聞いてもらったらイライラがましになってきた。ありがとう」
「そんな。お礼を言われるほどのことはしておりませんよ」
エリアスは静かに微笑んでそう言い、それから真剣な表情になって続ける。
「それにしても王女の誕生日パーティーを中止するなど実におかしな話です。理解に苦しみますね。何を考えているのやら」
「まったくその通りだわ。ライヴァンが余計なことしてくれたおかげね」
私は溜め息を漏らす。誕生日パーティー、楽しみにしていたのに。
「では今年のパーティーは小規模で行いますか?」
「小規模?」
「はい。内輪だけで王女の誕生日パーティーを行うのです。ドアの修理も終わっていますし、王女の自室でなら文句は言われないでしょう」
今まで自室で誕生日パーティーはしたことがない。しかし、なんだか楽しそうだ。
「楽しそうね。エリアス、名案だわ。あ……でもヴァネッサが許してくれないかも……」
「アンナ王女!」
ヴァネッサは駆け足で私とエリアスのところへやって来る。
「アンナ王女、誕生日パーティーが中止とは本当ですか!?」
彼女もどこかで聞いたようだ。説明する手間が省けて得をした。
にしても、彼女も驚いているのは意外だ。
「私も言われたわ。侵攻の被害のせいですって。酷い話よね」
それを聞きヴァネッサは難しい顔をする。
「困りました。もう呼んでしまったというのに……」
「何を呼んでしまったの?」
「パーティーに備えて歌手と手品師を呼びました。そろそろエンジェリカに到着する頃だと思うのですが……仕方ありませんね。キャンセルしてきます」
ヴァネッサは残念そうに言った。彼女は彼女なりにパーティーを盛り上げる用意をしてくれていたのだろう。
「ヴァネッサさん! 少し待って下さい」
この場を去っていこうとしたヴァネッサをエリアスが呼び止める。
「王女の誕生日パーティーは行います」
「はぁ? 何を言っているの。パーティーは中止だと貴方も聞いていたはずよね」
ヴァネッサは呆れ顔になるがエリアスは気にせず続ける。
「我々だけで王女の誕生日パーティーを開くのです。一年に一度しかない誕生日を祝わないなど、貴女だって嫌でしょう?」
「それはそうね。でも中止と言われれば中止だわ」
エリアスの眉が微かに動く。
「ヴァネッサさん、貴女はどうしてそんなに無情なのです。王女のために何かして差し上げたいとは思わないのですか?」
彼から発されている聖気が珍しく乱れている。表情からは読み取れないが、怒りスイッチが入ってしまっているみたいだ。
「そんなことを言われる筋合いはないわ。そもそも貴方はアンナ王女を甘やかしすぎではないの?」
ヴァネッサは露骨に不快そうな顔をしてエリアスに鋭い視線を向ける。
「そうやっていつも貴方が甘やかすからアンナ王女がまともに成長しないのでしょう!」
何それ、酷い。確かに間違いではないけどいきなり言われるとさすがにダメージを受けるわね。ちょっと傷ついたわ。
「貴女は何を言い出すのです! 王女は立派ではないですか!」
堪忍袋の緒が切れたらしくエリアスは激しく言い放った。
「事実を言ったまでよ」
「王女を侮辱するというのなら護衛隊長として見逃すわけには参りません!」
「私は本当のことしか言っていないわ」
「ヴァネッサさん! よく王女の目の前でそのようなことを!」
見るまに空気が気まずくなっていく。喧嘩しているのは二人なのに、なぜか私が一番この場にいづらい。
「はいはーい。そこまでー」
二人の言い合いを、突然呑気な声が遮った。ノアだ。
「ヴァネッサさん! エリアス! 無意味な喧嘩は止めようね!」
ジェシカの明るい声が続く。
「ジェシカさん! ノアさん!」
今の私には二人が救世主に見えた。まるで今までずっと隠れて見ていたかのようなナイスタイミング。
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