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前編

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 生まれつき魔法の才を持っていた私はまだ幼かった頃に魔法使いの養子になりゆくゆく魔法使いとなるために修行を重ねてきた。そして、十八の春、正式に魔法使いとして認定された。それからは街へ出て、魔法使いとしてできることを仕事としてきた。

 その中で出会いもあった。

「魔法が使えるなんてすごい!」

 初めてそう言ってくれた青年オレイズ。
 彼が私の最初で最後の婚約者になるのだと思っていた。

 ――その日までは。

「やっぱさ、魔女とか無理だわ」
「あたしたち愛し合っているのぉ~」

 ある日、オレイズは女性を連れて私の前にやって来た。

 凹凸のある身体つきが特徴的な女性だ。

「だから婚約は破棄するわ」
「ごめんなさいねぇ~? 奪うみたいになっちゃってぇ。でも勘違いしないでくださいねぇ? あなたの魅力が低かっただけでぇ、あたしが奪い取ったわけじゃないですからねぇ~」
「いいな? じゃ、そういうことで」
「さようならぁ~、元婚約者さぁん。あ! もう追い掛けてこないでくださいねぇ? 諦められなくてもぉ~絶対にあたしたちに寄ってこないでくださいねぇ~」

 女性はオレイズに胸をこすりつけながら勝ち誇ったような顔をこちらへ向ける。

 それから意地悪にふふっと笑みをこぼした。
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