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前編
しおりを挟む今日、婚約の破棄を告げられた。
何もやらかしていないのに。
問題行動があったわけでもないのに。
なのに、何の前触れもなく終わりを告げられてしまった。
ウィルソンはどうかしていると思う。急に呼び出して「君にはもう飽きたので婚約は破棄することとした、もう決めたから、絶対」なんて言ってくるなんて。そんなさらりとした感じでこちらの意見も聞かず一方的に関係の解消を告げてくるなんて。
しかも、飽きた、って……。
何それ!!
さすがに勝手過ぎだろう、その理由は!?
もやもやが残った。
せめてもう少し早く相談してほしかった、そんな風に思って。
そんな帰り道、普通に歩いていたら、たまたま地面に落ちていた一つのやや大きめな小石を蹴り飛ばしてしまった。
するとそれは勢いよく前方へ転がってゆき、やがて、ぱちゃとだけ控えめな音を立てて湖の中に落ちた。
そこそこ深さのある湖だから小石など誰も気づかないだろう。
けれども少しごみを捨てたような罪悪感があって。
誰に、なんてないけれど、湖の近くへたどり着いた瞬間に心の内だけで「ごめんなさい、石を落としてしまって」と呟いた。
すると、突然、湖の中から光が放たれて――。
『謝罪する素晴らしい綺麗な心の持ち主、感激しました』
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