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前編
しおりを挟む「ぜってぇ妹がいい! だって姉のほうは地味だし声も素っぽいしで良いとこなしだろ! 俺に相応しい女は妹のほうだ! これは絶対、俺は勘が良いから分かるんだ! だから絶対に妹のほうと婚約する!!」
新興領地持ちの家の息子であるリーゼント男子エルドレリッツォは、婚約にあたり、私を相手とすることを強く拒否した。そして、私ではなく私の妹であるネリアと婚約したいと必死に訴えた。ネリアはまだ結婚するには若干若い。そのため、年齢的には本来私とくっつくところだったのだが、エルドレリッツォが拒否し続けたためにそうはならず。エルドレリッツォは若めのネリアと婚約した。
そして、二人は、婚約するなり同居し始めた。
本来婚約者同士の間は一緒に住まなくてもいいのだ。
けれどもエルドレリッツォもネリアもそれを強く望んでいて。
そのためそういうことになったのである。
――だが、二人の感情が燃え上っていたのは束の間でしかなかった。
同居開始から数週間で二人は仲違い。
ネリアはエルドレリッツォから殴る蹴るの暴行されることとなり。
やがて二人は大揉め。
そして、婚約してから半年も経たず、二人は別の家で暮らすようになる。
後日エルドレリッツォから婚約の破棄を告げられたネリアは、実家へ帰ってきたが、一日中泣いているような状態になってしまっていて――かつてのような気が強く私を下に見ているようなネリアは消えていた。
エルドレリッツォが言った婚約破棄の理由は、わがまま過ぎて協調性がまったくない、というものだったそうだ。
それはそうだろう。ネリアは私と違ってずっと大事にされ可愛がられるばかりで育ってきた。もちろん、協調性とか我慢とか、そういったものは彼女の中には存在しない。言いたいことを言い、すべてが思い通りになる。それが普通なのだとネリアは思っている。
そんなネリアと上手くやっていく方法、それは、すべてにおいて彼女の言いなりになる――それしかないのだ。
エルドレリッツォは結局中まで見ることができていなかった。
そのため華やかなネリアを選んで。
それによってわがままな女を引いてしまったのである。
愚かなことだ。
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