婚約者ガーランドは数ヶ月前に知り合った女性ロレッタに惚れてしまっている――それも、少々異様なくらい。

四季

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 婚約者ガーランドは数ヶ月前に知り合った女性ロレッタに惚れてしまっている――それも、少々異様なくらい。

「悪いが俺はロレッタと生きることにした」
「え……」
「よって、お前との婚約は破棄とする」

 告げられたのはある昼下がり。
 彼に呼び出されて向かった彼の家にて、そんなことを宣言されてしまう。

 しかも、ロレッタもいるところで。

「こ、婚約破棄、って……」
「言葉の通りそういうことだ」

 あまりに気まずくて、胃が燃えてしまいそうだ。

「ええ……それはさすがに急過ぎませんか」
「知るか、急とか何とかそんなことはどうでもいいことだ。俺はロレッタを愛している。たとえ腕を引きちぎられようとも……それでも彼女だけを愛していると言えるほどだ」
「そ、そこまでですか」
「ああそうだ」

 ロレッタはガーランドの斜め後ろに控えて黒ずんだ笑みを浮かべている。
 美しい顔に滲む笑みの色はどこまでも純真なものでない。
 彼は気づいていないのだろうが、恐らくそれがロレッタという女性の本性なのだろう。
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