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後編

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「リットルとはもう他人に戻られたのでしょう?」
「はい」
「では、自分とはどうでしょうか」
「えっ……」
「自分と、将来を誓い合う関係になってはくださらないでしょうか!?」

 フィーガフは顔を真っ赤にしてそんなことを言ってくる。

 第一王子は静かで凛とした人だと思っていた。けれどもどうやら思っていたよりかは可愛らしい部分もあるようだ。そんな面を見せられてしまうと親近感が湧いてどうしても傍にいたくなってしまう。

「構いません、第一王子ともあろう貴方がそれを望まれるのであれば……」
「嫌ならはっきりそう仰ってください、遠慮なさらず」

 私は気づけば魅了されていた。

 フィーガフという人に。
 そして、その内側に在る可愛らしさに。

「いいえ、遠慮はしていません」
「本当ですか……!」
「はい」
「す、好きです!!」
「え……え、ええー……」
「好きですよ!?」
「は、はい、分かりました。どうぞよろしくお願いいたします」

 こうして私はフィーガフと結婚を見据えてお付き合いすることとなった。


 ◆


 結婚から三年、私とフィーガフは今も仲良しで日々を楽しみつつ生きている。

 王子の妻となったけれど、私は比較的私らしい状態で生活できていると感じる。そして、それはすべて、フィーガフがいてくれるからこそだ。フィーガフは私に対してあれこれ負の意味で余計なことを言う人を許さない、そういう人には徹底的に対抗してくれる。つまり、私を護ってくれるのである。

 妻を護る夫というのは現実世界では珍しい気がするけれど。
 でもフィーガフは本当にそういうことをしてくれる人だ。

 だからこそ、ここまでいろんな出来事に出会ってもなお歩いてくることができた。

 すべてはフィーガフの努力と力のおかげである。

 ちなみにリットルはというと、五番目の愛人とこっそりお出掛けしていて爆発事故に巻き込まれ大量のガラスの破片に襲われたそうで――その日その場で死亡した。

 彼はもうこの世には存在しない。


◆終わり◆
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