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後編
しおりを挟む「そ、そうですか……では……またの、機会に……」
「またの機会、はありませんよ」
「はぅっ!?」
「彼女も含めて三人で、なら、少しは考えますけどね」
フレグラインはいつだってそうだ、私の立場を考えて行動してくれる。だからこそ私は彼を真っ直ぐに愛せているのだ。彼が与えてくれる安心感、それは、とてつもなく愛おしくありがたいものだ。
こんな男性は珍しいだろう。
まるで創作物に出てくる男性みたいだ。
次々なびかず関係をきっちりと守ってくれるなんて、男性とは思えないくらい。
「もうお話は終わりましたか?」
「……っ、は、はい」
「ではこれにて。さようなら、お嬢さん」
オーリエは悔しそうな顔をして去っていった。
「フレグライン、相変わらず人気ね」
「そんなことないですよ」
「そう? でも彼女も狙っているみたいだったわ」
「ま、彼女はあまり地位のない家の娘ですから、そういう企みも多少はあるでしょうね」
その後もオーリエはちょくちょくフレグラインの前に姿を現し、二人きりになろうとしたり飲酒に持ち込もうとしたりしていたようだが、それらの企みはフレグラインのきちんとした対応によってことごとく失敗に終わっていたようだ。
それから少しして、オーリエは他の貴族の男性と結婚した。
だが彼女の夫となった人はとても高圧的な人だったそうで、オーリエは徹底的に怒られたりこき使われたり虐めに近いことをされたりするようになっていき、しまいに彼女は心を病んだそうだ。
けれども正直あまり同情はできなかった。
彼女はフレグラインにやたらと絡み近づいてきていた。
そのことがあったから。
彼女に対して可哀想という感情はあまり抱けなかったのだ。
ちなみに私とフレグラインは夫婦となっている。
「体調大丈夫そうですか?」
「ええ」
「なら良かったー」
「フレグライン、いつも心配してくれてありがとう」
「いえいえ、そんなの、当然のことですよ」
私は今もフレグラインを愛している。
もうじき彼との子が生まれる――きっとまた新しい暮らしが待っているだろう。
でも、何かしら苦労はあったとしても、彼と共に歩んでいきたい。
◆終わり◆
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