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後編
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婚約破棄後意外なことが起こった。
というのも、あの時の様子を密かに見ていた妖精たちが私のところへやって来たのだ。
恋や心をつかさどる彼女たちは怒っていた。
モリーグルスが並べた言葉があまりにも心なく他者を思いやらないようなものだったから。
「罰を与えてもいい?」
「アタシたち、あの男ぜーったい許せないから!」
彼女たちはモリーグルスに罰を与える気満々であった。
「ええと……構わないけれど、私のせいにする予定じゃないわよね?」
一応確認すれば。
「うん! それはしない!」
「すべてはアタシたちの意思よ!」
そう答えてくれたので。
「では自由にしてもらって大丈夫よ」
短めにそれだけ返しておいた。
そしてその翌日事は起こる。
自宅で普通の朝を迎えたモリーグルスだったが、突如出現した刃で構成された大量の花に襲われてしまい、血まみれになって倒れた。
もちろん短時間での死亡だった。
しかしすぐには気づいてもらえず、亡骸となって彼が発見されたのは数日後の夕暮れ時だったそうだ。
その後モリーグルスの葬式が開催されたそうだが、その最中にもまた謎の花が大量発生したそうで、それによって参列者の中に負傷者が多数出たとも聞いた。
花うんぬんというのが妖精が言っていた罰だったのかな? なんて考えつつものんびりと過ごしていたら――。
「アナタ! 妖精の王妃となってほしいの!」
突如そんなことを言われる日がやって来た。
どうやら妖精の王が私を妻としたいと言っているのだとか。
あまりにも急展開。それこそ意味不明なくらい。現実だとはとても思えないようなぶっ飛んだ展開が降ってきた。
……でも、もういっそ、そんなぶっ飛んだ話の方が良いのかも。
なんて、そんな風に思っている私もいた。
現実的さを求めていても幸せにはなれない、そう気づいたから。
ならばもう何だって良いのでは、なんて、今は思う部分もあって。
「そう……ですね。少し、前向きに、考えてみたいです」
だから私はそんな風に返した。
妖精の国へ行く、なんて、正直どんな感じか分からない。それゆえ不安もある。そこにある未知はもはや未来が見えないなんていう程度ではない。
でもそれでも希望を信じて。
前を向いて歩いてゆきたい。
◆終わり◆
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