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前編
しおりを挟む私は魔法が使える。
一方、妹レリスはというと、魔法は使えない。
けれども、親や周囲から愛されているのは、どちらかというとレリスの方だった――恐らく、大人は魔法を使える私の存在が少し怖かったのだろう。子どもが見ても分かるくらい、大人たちは皆私よりレリスを可愛がっていた。
そんな状態だったのだが、年頃になると、レリスは私の魔法の才能を利用し始めた。
彼女は私の魔法を己のものとして扱うようになったのだ。
私は親から殴られ蹴られで従うよう命令されていた。
だから逆らえず。
レリスが魔法を使えるという話を嘘とばらさないために協力せよ、という命令に、ただ従うしかなかった。
「レリスさん、初めまして。とてもお美しい方ですね」
「うふふ、よく言われます!」
今日はレリスが婚約者オッフル王子と初めて対面する日だ。
私は従者として彼女についていなくてはならない。
そして必要な時があれば魔法を使ってレリスが使っているように見せなくてはならない。
上手くいくだろうか。
正直自信はあまりない。
それに、王子を騙すというのも、少々申し訳ない気がする。
彼が純粋に信じているならなおさら。
「あ、ああ……個性的ですね」
「すみません~。ちょっとそんなところもあって」
「それで、魔法を使えるとか。事実ですか?」
「はい!」
レリスは笑顔で迷いなく返事した。
彼女には罪悪感なんてものは存在しないのだろう、恐らく。
「では、できれば、何か見せてくださいませんか?」
「はいっ」
「わぁ! 嬉しいです。実はずっと、魔法というものをこの目で見てみたかったのです!」
「ではやりますねっ」
レリスが片手を動かし構える。彼女は慣れた様子で手のひらを上にしていた。その時に魔法を発動する、私が。彼女の手もとに光を出す、これでレリスが魔法を使っているように見せかけるのだ。
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