婚約者に浮気されたうえそのことに触れた途端激怒され暴言を吐かれ婚約破棄宣言までされてしまったために、男嫌いになってしまったのですが……。

四季

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前編

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 かつて私は一度裏切られた。
 婚約者ルーレルに浮気されたうえそのことに触れた途端激怒され暴言を吐かれ婚約破棄宣言までされてしまったのだ。

 それ以来、男というものが嫌いになった。

 ルーレルのことは好きだった。信頼もしていた。だからこそ未来へ共に歩めると思っていた、のに、彼はあんなことをした。他の女の手を取り、私を敵として見たのだ。

 もう男性なんて信じない――あの涙の夜にそう誓った。

 けれど、運命の人は現れた。

「大丈夫!?」

 それは台風の日。
 風が想像以上に強そうだったので玄関先に置いていた植木鉢を回収しようと家から出た瞬間、まさかの凄まじい強風で飛ばされてしまった。
 で、少し離れた木の上の方に刺さるかのように引っかかってしまって。
 こんな日だから辺りには誰もいないし、体勢的に自力で降りることも無理だし、と、どうしようもない状態になってしまって。

 そんな私の前に現れ、窮地を救ってくれたのが、外の誰でもない彼だった。

「――よし、これで降りれたね」
「あ……」
「大丈夫だった? 怪我はない?」
「は、はい。ありがとうございます。どうしようもない状態だったので助かりました」

 それが彼との出会いとなった。

「無事で良かった」

 後日お礼として彼をティータイムに誘い、そこから関わりが始まってゆく。

 彼はオグリファイと名乗った。

 なぜだろう、彼と一緒にいると心が躍る。

 初めての経験だった。
 今まで男性といてこんな風な気持ちになったことは一度もない。

 もう一生男性なんて信じない。
 そう思って生きてきて。
 でも今こうして目の前で笑っている彼を、私は、どうしても信じそうになってしまう。

 馬鹿だと思う。
 単純だと。

 でも、湧き上がるこの想いは、もうどうやってもとめられそうにない。
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