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後編

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 私が頼んで婚約してもらったわけではない。それなのにこの言われよう。まったくもって意味が分からない。無理矢理婚約させられたわけではないだろう。

「分かったわ。ではそうしましょう。さようなら、サイタル」

 こうして私たちの婚約は破棄となった。

 その後、私は妹と二人で花屋を開き、色とりどりの花に囲まれて働きつつ暮らすようになった。ちなみに、花屋というのは、妹の昔からの夢だったのだ。いつか二人で、と話していたのだが、私の婚約が決まったことでその話は一旦打ち切りになってしまっていたのである。

「姉さんが帰ってきてくれるなんて! 夢みたい!」
「頑張りましょ」
「うん! 姉さんと一緒にお花と暮らせて幸せよ!」

 後に知人経由で聞いた話によれば、サイタルはあの後自分で見つけた好みの女性と結婚しようとしたらしい。だがその女性の実家は裕福ではなかったらしくて。サイタルは親から激しく反対され、結局その女性とは上手くいかなかったそうだ。

 また、ある時父親と結婚相手に関する話で言い合いになったサイタルは、その手で父親を殺めてしまったらしい。

 その後サイタルは殺人犯として牢の中で生きたとのことだ。


◆終わり◆
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