婚約破棄される日、それは突然やって来ました。~でもいいんです、私は余所で私なりの幸せを見つけますので~

四季

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後編

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「いよいよ今日だね」
「ええ……本当に。ここまであっという間だったわね」
「うん! 毎日楽しかったからだよきっと」
「なんか、急にいいこと言うじゃない」
「え? そうかな? やった! 褒められて嬉しい~」
「貴方っていつも元気よね」
「うん!」

 彼とならきっと、どんな苦難も乗り越えてゆけるだろう。

 今はそう思っている。

「リリーナはちょっと心配性だよね」
「ええ、まぁ……」
「でも大丈夫! 二人なら何だって乗り越えられるよ!」
「ありがとう。私、貴方のそういうところ、好きよ」

 ちなみにアリザスはというと、あの後惚れていた女性にアプローチし続けていたようだが、その恋は実らないまま終わってしまったそうだ。
 また、最後の方は、アリザスが必死になって追いかけるものでストーカーみたいになっていたらしい。

「あ、そうだ! 旅行楽しみだね!」
「式の後に出発するのよね?」
「ああそう! それそれ!」
「楽しみだわ。どんな素敵なものに出会えるか……なんて考えてしまうわね」
「え。それって男?」
「まさか。物よ。あるいは、風景とか」
「ほわあ、それは良かったぁ。いきなり捨てられるかと」
「何言ってるのよ! ないわよ、そんなこと。絶対」

 結局、愛しい人に相手にされなかった彼は、今も一人で生きているのだとか。

「大切なのは貴方、そこは変わらないわ」
「嬉しいなぁ」
「何照れてるのよ!?」
「いや、だって、そんな風にストレートに言われたらさ……誰だって、やっぱり嬉しいよ」

 ……いや、もちろん、一人で生きることに問題はないのだ。

 ただ、あれだけの熱量をもって彼女を狙っていてもなおその女性を捕まえられないとは、少し情けない。

 しかもストーカー行為によって社会的な評判も落としているのだから呆れた話である。

「ありがとう、リリーナ」

 だがそれも彼が選んだ道。
 その果てにどんな現在が待っていようが知ったこっちゃない。


◆終わり◆
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