祝福の日、彼を奪いにやって来た女が現れました。~絶望を越えて、手に入れる平穏と幸福~

四季

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3話

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 そんなローランは、今、花を扱う仕事をしていて。

「今日も持ってきたよ、花。季節のものを選んだから。好きかどうか分からないけど……気に入ってもらえると嬉しいな」

 だから最近定期的に花を持ってきて贈ってくれる。

「わ! オレンジ、綺麗!」
「先日店に入ってきた花でさ、きっと似合うだろうなーって」
「似合うかどうかは分からないけれど……でもとっても綺麗だわ! 好きよ! 素敵なお花をありがとう」
「気に入ってもらえて良かった。僕にできることってこれくらいしかないからさ」
「とても嬉しいわ」

 こうして私とローランの距離は徐々に縮まってゆく。


 ◆


 あれから一年、私はローランと結ばれた。

 あの時は絶望に染まったウエディングドレス。
 しかし今度は同じようにはならず。
 見守ってくれる人たちの前で、多くの祝福の中で、新たな第一歩を踏み出すことができた。

 ……嬉しくて泣いてしまったけれど。

 そう、涙の意味があの時とは真逆のものとなったのだ。

 ちなみにエリックとナナはというと、あの後急いで結婚するも夫婦喧嘩の絶えない夫婦となってしまい半年ももたず離婚となったそうだ。

 また、夫婦喧嘩の最中エリックに殴られたナナは顔面に一生治ることのない傷を負ったそうで、そのせいで男性から相手にされないようになってしまったとも聞く。

 性格が良ければ、顔の傷くらいどうということはないだろう。
 しかしナナの性格ではどうやら見た目をフォローするほどの魅力はなかったようだ。

 一方のエリックはというと、消息不明だそうだ。

 どこかで死んだとも何者かに誘拐されたとも言われており、謎が多い。

 しかし、たとえどうなっていたとしても、幸せにはなれていないことだろう。


◆終わり◆
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