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前編
しおりを挟む魚人族の姫オポフィリアは人間の王子エルビンと婚約した。
ある時人間に興味を持ったオポフィリアが海岸にまで人間の様子を見に行っていて、その時エルビンがたまたま通りかかって、そこで二人は初めて互いの姿を目にした。
そしてほぼ同時にお互いに惚れた。
オポフィリアは人離れした幻想的で美しい容姿の持ち主だ。
魚人族だからこそ。
人にはない輝かしさを持っている。
肌は滑らか、爪はうろこのように煌めいていて、長いやや波打った髪はパステルブルーからパステルピンクのグラデーションでところどころに貝殻がついて陽の光を浴びると輝く。また、瞳は華やかなブルーで、睫毛は化粧などしていなくともとても長い。
そんなオポフィリアだから惚れられないわけがなかった。
そうして出会ったオポフィリアとエルビンは惹かれ合っていたのだが――ある時エルビンが王妃の派閥の者たちから精神干渉の術をかけられてしまって。
「オポフィリア、お前のようなやつとは生きていけない! よって、婚約は破棄とする!!」
エルビンの心は術によって完全に変わってしまった。
「そんな……エルビン様……どうして……?」
「お前は魚人族、つまり、人でない者だ。化け物だ。たとえどんな美しくとも、化け物と共に生きてゆくことはできない」
「でもっ……生きていこうと言ってくださったではないですか……」
「ああそれは気の迷いだろう」
「え……」
「なぜそんなことを言ったのか、自分でもよく分からないな」
オポフィリアに向けられる視線は冷ややかだった。
「とっとと消えろ、オポフィリア」
「待ってください……! どうか、話を聞いて……!」
「この女を追い出せ!!」
「お願い、話を――って、きゃっ! ま、待って、お願いします、エルビン様……」
オポフィリアは城から強制的に追い出された。
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