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後編
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悲しみにくれながらかつて住んでいた海の中の国へ帰ったオポフィリア。
それが戦いの始まりとなってしまった。
魚人族は姫を泣かされ激怒。
人間への復讐を誓う。
「オポフィリア姫を傷つけた人間を許すな!」
「許せるわけがありません!」
「姫への侮辱は我々への侮辱! 絶対に許されることではない! 今すぐ殴り込み、無礼な人間どもを殺めるのだ!」
魚人族とて戦いを望み生きてきていたわけではない。
が、婚約破棄がすべてを変えて。
王子の行いが魚人族を好戦的な者たちへと変えてしまったのだ。
「人間め! 絶対許さん!」
「仕留めろ仕留めろ!」
「ひゃっはぁぁぁぁぁ! たぁぁぁのしぃぃぃぃぃぃ!」
「一人残らず殺めるのだ」
婚約破棄から一年経たず、エルビンらがいる国は滅んだ。
「姫様、復讐は果たされましたよ」
護衛デンタからそう聞いたオポフィリアは何とも言えないというような顔をする。
彼も彼女の気持ちは薄々察していた。
彼はずっと姫の近くにいた。
昔から。
だからこそ彼女がどういう者であるかよく知っている。
オポフィリアが人間に良い意味で興味を持っていたことも知っている。
「そうですか……」
「もう悲しまないでください」
「そう、ですね。皆さんがそうしてくださったのですから、喜ばなくては」
「ああいや、無理に喜ばなくて大丈夫です」
「そうですか?」
「今は複雑でしょう」
貝殻のソファに座ったまま、オポフィリアは目を伏せる。
そして少しして。
ゆっくり控えめに口を動かす。
「……そうですね」
ちなみに、オポフィリアを傷つけた当人であるエルビンとその近い人である家族だけは、他の人間たちとは別の形で処刑された。
◆
「デンタさん、浮かない顔をしていますね」
「えっ?」
「私と結婚するの……嫌でしたか?」
オポフィリアはもう人間のもとへは戻らなかった。
そして、優秀な護衛であるデンタと共に生きることになった。
「い、いえ! そのようなことはありません! 断じて!」
「そうですか。なら良かったです」
「これからも護らせてください!」
「ふふ、デンタさんは面白いですね」
「そ、そうですか?」
「はい。実は前から思っていたのです。真面目できっちりしている方なのに何だか面白いところもあるなぁって」
オポフィリアは今、笑っている。
生まれ育った海の中で。
◆終わり◆
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