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前編
しおりを挟む「きみは魅力的でないよ、この世界にはもっと魅力的な女性がたくさんいる。正直なことを言うなら、きみは百人中九十七人目くらいの女だ。つまり価値がかなり低いということ。分かったかい? じゃ、そういうことで、婚約は破棄とするね。さよなら」
婚約者の青年アドレマイヤーはある日突然そんなことを言ってきた。
その表情に暗さはなく。
むしろ爽やかさをはらんだような顔つきで対峙してくる。
「永遠のお別れだよ。ばいばい」
彼は最後そう言った。
それからどこか挑発的で嫌みな笑みを唇に薄く滲ませる。
彼の心はもう私にはないのだと悟って、だから私は速やかにその場から消えることにした。
◆
婚約破棄後、私はよく湖の畔で歌った。
昔から歌は好きだった。
だからそうして過ごしている時は癒しの時間だったのだ。
そんなある日のこと、いつものように静かな湖畔で一人歌っていたら、たまたま地方へ来ていた王子に声をかけられる。
「素晴らしい歌声ですね」
「え……あ、ありがとうございます……」
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