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後編
しおりを挟む喋るのは得意でないから少々途切れ途切れの返事にはなってしまったけれど、それでも彼は怒らず見守ってくれて。
また、王都へ出て歌手になる道を提案してくれた。
「貴女のその歌声は大勢を魅了することでしょう」
「でも、私、そんな……」
「きっと上手くいきますよ。試してみませんか、一度」
その後私は王都へ出た。
◆
あれからどのくらい経っただろう。
ほぼ初対面だった王子からの提案で歌手への道を歩み出した私は、今、歌姫と呼ばれるまでになった。
今やかつての私は死んでしまったかのよう。
何もかもすべてが変わった。
関わる人、身を置く世界、触れる者――この身の周りにあるものすべてが素晴らしく華々しいものへと書き換えられた。
その一方で、アドレマイヤーは時代の闇に沈んでいったようだ。
少し前、一時期流行っていた謎の薬。それに手を出してしまったそうで。薬の効果によって正気を失い踊っているところを逮捕されてしまったそうだ。また、その後しばらくして解放されるも薬をやらかしたという前科があるためまともな仕事には就けず、その結果グレーゾーンな仕事に就くこととなったようで。それによってそれからも何度も逮捕されたそうだ。
もはや彼には一般社会の明るみで生きてゆく選択肢はない。
◆終わり◆
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