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婚約破棄、それでもまた陽はのぼる。

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 婚約破棄。

 突然に告げられたそれは、私を、寒く冷たい湖に沈めた。

 どこまで深いのだろうと考えてしまうような湖。そこは暗く、遠ざかる上は自然の光で微かに見えても、下は暗闇で何も見えない。いつになれば底へたどり着くのか、それさえ察することはできない。音はなく、光も少ない、まるで宇宙に放り出されたかのよう。

 浮上しよう。
 そう努力するたびに身体は深くへゆく。

 私はどこへ向かうのだろう……。

 ただ問うこともできない。


 ◆


 やがて月日が流れ、私の心は湖から上がることができた。

 私はもう涙しない。
 心折られもしない。

 心に陽が射し込む。

 時が傷を癒やした。

「庭掃除でもしようかな」

 それは、一ヶ月ぶりの外出だった。


◆終わり◆
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