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8話「交流は続いています」
しおりを挟むあれからもヴォルフとの交流は続いている。
これまでにもう既に何度か会った。
最初こそそっけなさもあった私たちだが今では徐々に良い関係になってきているような、そんな気がする。
「あの視察の時、不審者から護っていただけて、本当に助かりました。ああいうことって珍しくって。それで私も周りも慣れていなかったので素早い対応もできずで……危ないところだったんです。でもヴォルフさんが間に入ってくださって、おかげで死なずにすみました」
今ではのんびりお茶をして昔話までするくらいの関係性となっている私たち。特別刺激的な出来事はないもののそれなりに仲良くやれている。恋とかそういう発展はないけれど。でもそれなりに良き関係は築けているような気がする。
ちなみに。
大抵私の方が喋っていることが多い気はするけれど、これは、彼がいつも落ち着いて聞いてくれるので自然とあれこれ話してしまうのだ。
「そうだったのですね、通りで誰も動いていないと思いました」
「そうなんです……。結局あの場で一番能力が高かったのはヴォルフさんでしたね」
何も考えずさらりとそんなことを言えば。
「能力、て。言い方ですよ言い方」
ヴォルフは突っ込みを入れてきた。
彼はたまにこういう口の挟み方をしてくることがある。その時ですら淡々とした調子なので突っ込みらしい突っ込みには聞こえないのだけれど良く考えてみたら突っ込まれている、ということが時折発生するのだ。
それが悪いと言いたいわけではないけれど。
ただ、見た感じのわりに鋭く切り込んでくることがあるので、ある種の面白さを感じるのだ。
「すみません失礼でした?」
「いえべつにそうではないですけど」
「なら良かったです!」
そこで、ふっ、と笑みをこぼされてしまう。
きょとんとして彼の方へ目をやると偶然視線が重なった。
「……貴女は眺めてい楽しいです」
視線が重なった数秒後、ヴォルフはそんなことを呟くように発する。
「え? ど、どういうことです?」
意外な言葉をかけられて、戸惑いの色を浮かべざるを得ない。
「よく表情が変わられるので」
「あ……え、えへへ……すみません、こんなで」
「それに、王女という位の女性にしては庶民的といいますか……親しみやすさを感じます」
「し、親しみやすさ……!?」
驚きの言葉が次々に出てくる。
そんなことを考えていたのか、なんて思って、衝撃を受けると同時に感じるさりげない嬉しさに戸惑う。
「そうです」
「それは初めて言われました……けど、そうだとしたら嬉しいです」
王女である以上、どうしても皆から一般人ではないという目で見られてしまうものだ。実際同じではないのだしそういう意味では差もあるのだ、が、できることなら一般人からも愛される人間でいたい。すべての人に愛されるなんていうのは夢物語だし不可能だと分かっているけれど、でも、国民から親しみを持ってもらえるならそれに越したことはない。
フォンドの王女エヴァーニカみたいな『民から搾り取った金で贅沢し放題!』というような王女にはなりたくない。
「嬉しい? そうなのですか? 意外です」
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