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私はまだ生きたいのです。ですから復讐でも何でもします。すべて、私が生き延びるため、ですから。
ー後編ー
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諦めかけた瞬間だった。
なぜか突如時が止まる。
「え……」
動いていない。私以外のもの、すべてが。刃物を手にしているディマードも、その横で黒い笑みを浮かべているリリアも、壁にかけられた時計の針も。視界に入るすべてのものがまるで絵画にでもなったかのように動きを止めている。
次の瞬間、目の前に現れたのは白い布をまとった女神。
『わたしは女神』
やっぱり……、と思った。
「私に何かご用でしょうか?」
『危ないところでしたね、刺されて命を落としかけていたではないですか』
「あ、はい……それはそうです。驚かせてしまいすみません」
『いいえ、あなたに非はありませんよ』
女神の言葉は優しかった。
そのそっと寄り添ってくれるような言葉にどれほど救われたか。
『裏切り者には復讐を、そう思いませんか?』
「復讐……」
『このままではあなたは仕留められてしまうでしょう。それは嫌ではないですか? 嫌なら、運命を変えるしかありません』
女神は右手を差し出してきた。
手のひらに乗っているのは小さなボタン。
『このボタンを押せば復讐できますよ』
復讐……なんて、しても良いのだろうか。
良いものとは思えない。でもそうしなければ死んでしまうなら。最悪の運命から逃れるためにはそれを選ぶしか道はないのか。理不尽に命を奪われるくらいなら抵抗するべきとも感じられて。
……ああ、やはり、私はまだ死にたくない。
「押します」
私はそのボタンを押すことにした。
何が起こるか分からない。
それでも死を回避するためなら……。
『心は決まったようですね』
「ありがとうございます、では押します」
『どうぞ』
ボタンを押した瞬間、時が動き出す。
迫りくるディマードの持つ刃物が突如爆発した。
彼は突然のことに情けない大きな声を発する。
持っていたものが爆発したためにダメージを受けたディマードは「うわあああああああ」と叫んだ。
死ぬほどのダメージではないが、彼のメンタルは完全に崩壊している。
「ああああああ! ぎゃああああああ! うおわぁぁぁぁぁぁ! いあああああああああ!」
「な、何事ですの!?」
「ごばいよおおおおおおおおお! ばくばづぢだあああああああああ!」
「ディマードさま!? 一体何なんですの!?」
「うぎゃあああああああ! リリアの、リリアの、せいだああああああああ! リリアのせいで、ごん、な、ごどぢいいいぃぃぃぃぃぃ!」
正気を失ったディマードは隣にいたリリアの顔面を片方の拳で殴った。
「きゃああああっ」
床に倒れ込んだリリアは何が起きているのかまだ理解できていないようだ。
「お前の! お前の! せいだ! お前が! 不幸を! 運んできた!」
「や、やめっ……ディマードさ……きゃあっ、やめ、やめて……っ、いやああああああ」
ディマードはリリアを動かなくなるまで徹底的に痛めつけた。
「お前の! せいだろ! お前が! こんなことを! 命令しなければ! こんな! ことには! 俺が痛い思い! することはなかった! のに! お前がお前がお前がお前が……いなければ!」
やがて静寂が訪れる。
その場にいる動ける人間は彼と私だけになった。
また狙われる――そう思い、焦っていたら。
「うわあああ!!」
天井から大量の石が降ってきてディマードに命中する。
「な、な、ななな、何で石ぃぃぃぃぃ!?」
その後もディマードはとんでもない謎現象に連続で巻き込まれた。
彼は踏んだり蹴ったりだった。
壁の柱から飛び出してきた鉄の棒に突っ込まれたり。
その鉄の棒が反対側の壁を突き破ってできた穴から入ってきた数十匹の黒猫に取り囲まれ十分以上引っかかれ続けたり。
大量発生した昆虫に全身を覆うようにとまられたり。
通路の向こう側から飛んできた重い瓶三つに激突されたり。
……などなど、彼は驚くくらい酷い目に遭った。
「な……んで、こん、な……好き、な、人と……生きよう、と……決意、した、だけ……だった、のに……こん、な、なん……で、俺、が……」
ディマードは倒れて動けなくなっている。
「もっと、も、っと、しあ、わせ……に……なり、た、かった……だけ、それ、だけ、だった……のに……それ、なの、に……どうして、こん、な……」
それから少しして彼はこの世から旅立った。
◆
あれから数年、私は一国の王妃となっている。
ディマードに捨てられた後少しして出会った隣国の王子ランド・ディヴォ・テイテイ・ド・テイテイ・テイテテエイと結ばれたのである。
そして先日彼が王となり。
それによって私は王妃となった。
私はこの国のために生きる。
過去を振り返ることは、もうない。
◆終わり◆
なぜか突如時が止まる。
「え……」
動いていない。私以外のもの、すべてが。刃物を手にしているディマードも、その横で黒い笑みを浮かべているリリアも、壁にかけられた時計の針も。視界に入るすべてのものがまるで絵画にでもなったかのように動きを止めている。
次の瞬間、目の前に現れたのは白い布をまとった女神。
『わたしは女神』
やっぱり……、と思った。
「私に何かご用でしょうか?」
『危ないところでしたね、刺されて命を落としかけていたではないですか』
「あ、はい……それはそうです。驚かせてしまいすみません」
『いいえ、あなたに非はありませんよ』
女神の言葉は優しかった。
そのそっと寄り添ってくれるような言葉にどれほど救われたか。
『裏切り者には復讐を、そう思いませんか?』
「復讐……」
『このままではあなたは仕留められてしまうでしょう。それは嫌ではないですか? 嫌なら、運命を変えるしかありません』
女神は右手を差し出してきた。
手のひらに乗っているのは小さなボタン。
『このボタンを押せば復讐できますよ』
復讐……なんて、しても良いのだろうか。
良いものとは思えない。でもそうしなければ死んでしまうなら。最悪の運命から逃れるためにはそれを選ぶしか道はないのか。理不尽に命を奪われるくらいなら抵抗するべきとも感じられて。
……ああ、やはり、私はまだ死にたくない。
「押します」
私はそのボタンを押すことにした。
何が起こるか分からない。
それでも死を回避するためなら……。
『心は決まったようですね』
「ありがとうございます、では押します」
『どうぞ』
ボタンを押した瞬間、時が動き出す。
迫りくるディマードの持つ刃物が突如爆発した。
彼は突然のことに情けない大きな声を発する。
持っていたものが爆発したためにダメージを受けたディマードは「うわあああああああ」と叫んだ。
死ぬほどのダメージではないが、彼のメンタルは完全に崩壊している。
「ああああああ! ぎゃああああああ! うおわぁぁぁぁぁぁ! いあああああああああ!」
「な、何事ですの!?」
「ごばいよおおおおおおおおお! ばくばづぢだあああああああああ!」
「ディマードさま!? 一体何なんですの!?」
「うぎゃあああああああ! リリアの、リリアの、せいだああああああああ! リリアのせいで、ごん、な、ごどぢいいいぃぃぃぃぃぃ!」
正気を失ったディマードは隣にいたリリアの顔面を片方の拳で殴った。
「きゃああああっ」
床に倒れ込んだリリアは何が起きているのかまだ理解できていないようだ。
「お前の! お前の! せいだ! お前が! 不幸を! 運んできた!」
「や、やめっ……ディマードさ……きゃあっ、やめ、やめて……っ、いやああああああ」
ディマードはリリアを動かなくなるまで徹底的に痛めつけた。
「お前の! せいだろ! お前が! こんなことを! 命令しなければ! こんな! ことには! 俺が痛い思い! することはなかった! のに! お前がお前がお前がお前が……いなければ!」
やがて静寂が訪れる。
その場にいる動ける人間は彼と私だけになった。
また狙われる――そう思い、焦っていたら。
「うわあああ!!」
天井から大量の石が降ってきてディマードに命中する。
「な、な、ななな、何で石ぃぃぃぃぃ!?」
その後もディマードはとんでもない謎現象に連続で巻き込まれた。
彼は踏んだり蹴ったりだった。
壁の柱から飛び出してきた鉄の棒に突っ込まれたり。
その鉄の棒が反対側の壁を突き破ってできた穴から入ってきた数十匹の黒猫に取り囲まれ十分以上引っかかれ続けたり。
大量発生した昆虫に全身を覆うようにとまられたり。
通路の向こう側から飛んできた重い瓶三つに激突されたり。
……などなど、彼は驚くくらい酷い目に遭った。
「な……んで、こん、な……好き、な、人と……生きよう、と……決意、した、だけ……だった、のに……こん、な、なん……で、俺、が……」
ディマードは倒れて動けなくなっている。
「もっと、も、っと、しあ、わせ……に……なり、た、かった……だけ、それ、だけ、だった……のに……それ、なの、に……どうして、こん、な……」
それから少しして彼はこの世から旅立った。
◆
あれから数年、私は一国の王妃となっている。
ディマードに捨てられた後少しして出会った隣国の王子ランド・ディヴォ・テイテイ・ド・テイテイ・テイテテエイと結ばれたのである。
そして先日彼が王となり。
それによって私は王妃となった。
私はこの国のために生きる。
過去を振り返ることは、もうない。
◆終わり◆
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