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ある日突然見知らぬ女性が訪ねてきました、どうやら婚約者の浮気相手のようなのですが……?
2話「まさかの展開」
「これからカイールを呼びます」
「構いませんわよ」
「そして一旦話をしましょう」
ここで怒っても何も生まれない。
だからなるべく冷静に対応するよう心がける。
「ふん、あんたってほんと可愛くない女ですわね。負け惜しみばっかり言って。カイールさまが愛しているのはわたくしですもの、そこをさっさと理解して諦めるべきですわ。あんたがすべきことはその席を譲るだけですのに、席に固執してなかなか退かないだなんて、ただの迷惑女ですわ。絵に描いたような迷惑女ですわね、もう、ほんっと笑えますわ」
その後私はカイールを呼び出した。
彼は何も考えず私の家までやって来たけれど、そこにラランがいることに気づいた途端極めて分かりやすく青ざめる。恐らく何が起こったのかを察したのだろう。一瞬にして彼の表情は驚くくらい固いものへと変化していた。
どうやらそういう勘だけはそれなりに冴えているらしい。
「話って何だい?」
「カイール、浮気していたのね」
「……へ?」
「この女性が、ラランさんが、わざわざ来てくれて教えてくれたの」
するとラランは勝ち誇ったような顔をして「カイールさま言いづらいって言ってたからぁ、ラランが先に言っておきましたぁ」と甘い声を放つ。それに対してカイールは渋い物を食べたような顔をした。不快感に満ちた顔をされたラランは何が起こっているのか理解できていないようで「カイールさまぁ?」と不思議そうにこぼしていた。
「ララン! なんてことしてくれるんだ!」
「ふぇ?」
「余計なことするなよ!」
「何でですかぁ」
「アホ! わざわざアイリーンに話すとかアホだろ! アホの極みすぎ!」
するとラランは瞳を潤ませる。
「カイールさまぁ……どうして、ラランのことぉ……アホとか、そんな、そんな風にぃ……言うんですかぁ……」
しかしそれがカイールをより一層苛立たせてしまい。
「泣き真似とか無意味だから。ホントふざけんな。ふざけすぎだろ、お前。アホすぎる! もうとにかくアホ! どこまでもアホ! 極めてアホ! びっくりするくらいアホ!」
カイールはラランに対して暴言を吐き出した。
「ラランは……ラランは、ただぁ……ただ、本当のことを、伝えただけ、でぇ……」
「アホすぎるだろ!」
「で、でもぉ……カイールさまはぁ、ずっとぉ、言っていたじゃないですかぁ……婚約者が怖すぎるから言いづらい、ってぇ……」
「ふざけるな! あんなのはただのネタ! ネタに決まってるだろ!」
「嘘だったんですかぁ……?」
「当たり前だろ! てか、嘘じゃない! 言い方悪過ぎだろ! いやもうあまりにも悪質だなお前!」
――次の瞬間。
「ふ、ふざけるなああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ラランはカイールに襲いかかった。
その手には懐から取り出した小型の刃物。
「裏切り者は消え失せろおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ラランは刃物をカイールに突き刺す。
「や、やめろ!」
「やめるわけないでしょおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「落ち着け……ぐっ」
「ふざけないで! 落ち着けるわけないでしょ! こんなやり方されて! 嘘つきは今すぐくたばりなさいよ!」
「ぐああああああ! 刺すな! 刺すな刺すな刺すな!」
「わたくしを裏切って無事でいられると思ったら大間違いよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 罪を理解しろおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
まさかの展開が目の前で繰り広げられ、私はただただ戸惑うことしかできなかった。
止めるべき? ……どちらを? できない、私には、何も。それに、私にはそんな義務はないはず。敵が単なる敵なのであればどうにか対処するけれど、この場合カイールとラランが互いにやらかしているという状態なので、そこに含まれていない私にはどうしようもない。……だってそうだろう? そもそも私は純粋に被害者なのだ、彼らの衝突に入り込んでゆくべき立ち位置ではない。……私から見れば両者共に加害者なわけだし。
「わたくしを騙して! 許されると思うな! 逃げられると思うな! 悪人、罪人、みーんな仕留めてあげる! カイール、あんたは絶対許さない! わたくしの純粋な心を弄んで無事でいられると思ったら大間違いよ! 高貴なる家柄のお嬢さまであるわたくしを騙した悪しき男! 穢れた男! 大人しく痛い目に遭いなさい! そして罪を悔いなさい! 後悔するまで徹底的にやってあげる! 覚悟して! わたくしを弄んだらどうなるか! どうなるのか! その身で理解なさい! どこまでもやる、ひたすらやる、徹底的にやってあげる!」
「構いませんわよ」
「そして一旦話をしましょう」
ここで怒っても何も生まれない。
だからなるべく冷静に対応するよう心がける。
「ふん、あんたってほんと可愛くない女ですわね。負け惜しみばっかり言って。カイールさまが愛しているのはわたくしですもの、そこをさっさと理解して諦めるべきですわ。あんたがすべきことはその席を譲るだけですのに、席に固執してなかなか退かないだなんて、ただの迷惑女ですわ。絵に描いたような迷惑女ですわね、もう、ほんっと笑えますわ」
その後私はカイールを呼び出した。
彼は何も考えず私の家までやって来たけれど、そこにラランがいることに気づいた途端極めて分かりやすく青ざめる。恐らく何が起こったのかを察したのだろう。一瞬にして彼の表情は驚くくらい固いものへと変化していた。
どうやらそういう勘だけはそれなりに冴えているらしい。
「話って何だい?」
「カイール、浮気していたのね」
「……へ?」
「この女性が、ラランさんが、わざわざ来てくれて教えてくれたの」
するとラランは勝ち誇ったような顔をして「カイールさま言いづらいって言ってたからぁ、ラランが先に言っておきましたぁ」と甘い声を放つ。それに対してカイールは渋い物を食べたような顔をした。不快感に満ちた顔をされたラランは何が起こっているのか理解できていないようで「カイールさまぁ?」と不思議そうにこぼしていた。
「ララン! なんてことしてくれるんだ!」
「ふぇ?」
「余計なことするなよ!」
「何でですかぁ」
「アホ! わざわざアイリーンに話すとかアホだろ! アホの極みすぎ!」
するとラランは瞳を潤ませる。
「カイールさまぁ……どうして、ラランのことぉ……アホとか、そんな、そんな風にぃ……言うんですかぁ……」
しかしそれがカイールをより一層苛立たせてしまい。
「泣き真似とか無意味だから。ホントふざけんな。ふざけすぎだろ、お前。アホすぎる! もうとにかくアホ! どこまでもアホ! 極めてアホ! びっくりするくらいアホ!」
カイールはラランに対して暴言を吐き出した。
「ラランは……ラランは、ただぁ……ただ、本当のことを、伝えただけ、でぇ……」
「アホすぎるだろ!」
「で、でもぉ……カイールさまはぁ、ずっとぉ、言っていたじゃないですかぁ……婚約者が怖すぎるから言いづらい、ってぇ……」
「ふざけるな! あんなのはただのネタ! ネタに決まってるだろ!」
「嘘だったんですかぁ……?」
「当たり前だろ! てか、嘘じゃない! 言い方悪過ぎだろ! いやもうあまりにも悪質だなお前!」
――次の瞬間。
「ふ、ふざけるなああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ラランはカイールに襲いかかった。
その手には懐から取り出した小型の刃物。
「裏切り者は消え失せろおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ラランは刃物をカイールに突き刺す。
「や、やめろ!」
「やめるわけないでしょおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「落ち着け……ぐっ」
「ふざけないで! 落ち着けるわけないでしょ! こんなやり方されて! 嘘つきは今すぐくたばりなさいよ!」
「ぐああああああ! 刺すな! 刺すな刺すな刺すな!」
「わたくしを裏切って無事でいられると思ったら大間違いよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 罪を理解しろおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
まさかの展開が目の前で繰り広げられ、私はただただ戸惑うことしかできなかった。
止めるべき? ……どちらを? できない、私には、何も。それに、私にはそんな義務はないはず。敵が単なる敵なのであればどうにか対処するけれど、この場合カイールとラランが互いにやらかしているという状態なので、そこに含まれていない私にはどうしようもない。……だってそうだろう? そもそも私は純粋に被害者なのだ、彼らの衝突に入り込んでゆくべき立ち位置ではない。……私から見れば両者共に加害者なわけだし。
「わたくしを騙して! 許されると思うな! 逃げられると思うな! 悪人、罪人、みーんな仕留めてあげる! カイール、あんたは絶対許さない! わたくしの純粋な心を弄んで無事でいられると思ったら大間違いよ! 高貴なる家柄のお嬢さまであるわたくしを騙した悪しき男! 穢れた男! 大人しく痛い目に遭いなさい! そして罪を悔いなさい! 後悔するまで徹底的にやってあげる! 覚悟して! わたくしを弄んだらどうなるか! どうなるのか! その身で理解なさい! どこまでもやる、ひたすらやる、徹底的にやってあげる!」
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