乗せられなければ死なずに済んだでしょうに……悲しいことです

四季

文字の大きさ
1 / 2

前編

しおりを挟む
 私、エリカ・ミレニアムには、幼いうちに家の都合で婚約した婚約者がいた。

 彼の名はハリソン。
 私たちは子どもの頃から仲良しだった。異性ではあるけれど、性別なんて関係なくて。邪な感情などなく、純粋な友情を築き上げていた。

 だが、ある時、ハリソンに寄ってくる娘が現れた。

 その娘は学園の生徒。私やハリソンより二つ年下。名はリクエシナという。地味寄りな容姿ながら、ハリソンに近寄ることに関しては非常に積極的な少女であった。

 リクエシナはハリソンに婚約者がいることを知っている。ハリソンが話していたから。しかし彼女は気にしないようで。遠慮なく、迷いもなく、彼女はハリソンに近づいた。

「初めまして! ハリソンさんには毎日お世話になってます!」

 初めて会った時、牽制するようにそう言われたのが忘れられない。

 彼女が現れてからというもの、ハリソンは私と会う回数を減らすようになった。けれども当初は何も思わなかった。彼の「最近仕事が忙しくて」という言葉を信じていた。
 だが、やがて、ハリソンがリクエシナと一緒にいることが判明する。
 ハリソンとリクエシナはその時既に一線を越えていた。ハリソンに婚約者がいると知りながらも、リクエシナはハリソンに迫ったのだ。そして、本来越えてはいけない一線を越えてしまった。

 そのことを受け、一度話し合いの場が設けられる。

 だがその時もリクエシナは悪気などなさそうで。

「ハリソンに婚約者がいることはご存知でしたよね?」
「えぇ! 存じ上げています。それが何か? 何か問題でもあるというのですか?」
「婚約者がいる者とそういう行為に及ぶのは問題です」
「いいえ! それは問題なんかじゃありません。だってほら、わたし、魅力的だから? 仕方ないんです。これまでもそうでしたし」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなただけが頼りなの

こもろう
恋愛
宰相子息エンドだったはずのヒロインが何か言ってきます。 その時、元取り巻きはどうするのか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

幼馴染みで婚約者だった彼に切り捨てられてしまいましたが、自分にできることをしながら生きていたところ意外な良縁に恵まれました。

四季
恋愛
マリエ・フローレニシアとダット・ティオドールは幼馴染みであり婚約者同士。 仲は悪くなかった。 だが、ダットがアレンティーナという女性と仕事で知り合った時から、二人の関係は崩れていって……。

身分が上だからと油断しているようですけど……

四季
恋愛
私の婚約者は、私を舐めきっていました。 とにかく、女遊びし過ぎです。

もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?

四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?

夫が年下の女性と不倫していたので離婚します。

四季
恋愛
夫が年下の女性と不倫していたので離婚します。

好きな人ができたなら仕方ない、お別れしましょう

四季
恋愛
フルエリーゼとハインツは婚約者同士。 親同士は知り合いで、年が近いということもあってそこそこ親しくしていた。最初のうちは良かったのだ。 しかし、ハインツが段々、心ここに在らずのような目をするようになって……。

処理中です...