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2話
しおりを挟む「相応しい、ですか……」
何だか上から目線だなぁ、と思ってしまう。
どうしていちいち上からな言葉選びをするのだろう?
男性が偉いのは当然とでも思っているのだろうか?
だってそうだろう?
相応しい、とか。
言われる側になったら不快だと思う。たとえきちんと評価されているとしても、だ。もし私がその女性の立場だったとしたら、どうしてそんな上から目線で評価されなければならないの、と思ったことだろう。
もう少し敬意を持って接すればどうか。
「ああ。レイヴィアという女性なのだが、彼女はとても良い家の出で容姿も美しく評判もとても良い。一瞬で惚れてしまったよ。彼女はそのくらい素晴らしい女性なんだ」
彼は旋律をなぞるかのように語る。
「そうですか」
「泣いて謝れば許してもらえるとでも思っているか? だとしたらそれは間違いだ。泣こうが喚こうが、俺はお前との縁を継続する気はない。俺には彼女だけ、レイヴィアさんだけだ。レイヴィアさんのような女性こそが俺には相応しい」
レイヴィアという女性について話している時、エデルグリーンの表情には煌めきがあった。
これが恋か。
そう思うほどに。
「だから、婚約は破棄だ。分かったか?」
「そうですね。エデルグリーンさんはそのレイヴィアさんという方に恋をなさっているようですね、では私は邪魔なようなので去ります」
「そうしてくれ」
「ただし、婚約を一方的に急に破棄しこちらを振り回した罪は償っていただきますので」
「はぁ? 何言ってやがる、生意気な」
「では、さようなら」
最後は笑顔で。
爽やかに別れよう。
こうして一つの婚約が終わりを迎えた。
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