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前編
しおりを挟む私には五つ年下の妹がいる。
名はリリ。
花のように可憐な容姿の持ち主だ。
ただ、わがままだし、なかなか腹黒いのだが。
「君がリリさんかい?」
「はい! そうです! アルペン様、とっても素敵なお方ですね!」
私の婚約者であるアルペンは、初めてリリと出会った日、瞳を輝かせていた。
それはまるで恋する乙女の瞳。
彼は私という存在がありながら妹に心奪われていたようで。
「お姉さんにはいつもお世話になっているよ」
「そんなぁ! あ、でも、姉はちょっと真面目過ぎるところがあるんですよぉ」
その時のアルペンの様子は日頃の彼のそれとは異なっていた。
妹の前では彼は紳士だった。
「リリさん、よければ、この後お茶でもどうだい?」
「姉と三人でですかぁ?」
「いや、二人で」
「ええ~駄目ですよぉ姉と婚約してるのにぃ」
「お姉さんについて教えてほしいと思って」
「困りますぅ」
「駄目、かな」
「ま、でも、どうしてもって言うならぁ~、仕方ないですけど。ちょっとだけですよぉ?」
「ありがとう! じゃあぜひよろしく!」
こうしてその日アルペンとリリは二人でお茶をすることになり、その日のうちに深い関係になってしまったようだった。
で、数日後。
「お前との婚約は破棄する」
アルペンが告げてくる。
「リリさんは素晴らしい方だ、お前とは比べ物にならない」
「ええっ……」
「俺はついに本物の愛に出会った。もう心をごまかせない。よって、俺はお前とは縁を切る! そしてリリさんと生きていく」
こうして急に関係は終わってしまった。
その後アルペンはリリと婚約した。
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