海辺で遊んでいたら婚約破棄されてしまいました。悲しいです。しかしその後幸運なことが起きました。

四季

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海辺で遊んでいたら婚約破棄されてしまいました。悲しいです。しかしその後幸運なことが起きました。

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 その日、海辺で遊んでいたら、そこに婚約者ルガが現れて。

「お前、何一人で海で遊んでるんだよ」

 そんなことを言ってきた。

 戸惑いながら「え? どうしてそんなことを聞くの?」と言ってみると、彼は「一人で海遊びとか恥ずかしくねえのかよ」と返してきて――ますます意味が分からなかったので「いつも一人よ」と言ってみたところ、溜め息をつかれてしまった。

「ま、いいや。で、今日は用があったんだけど。お前との婚約、破棄することにしたんだ」

 しかも溜め息だけではなかった。
 婚約破棄まで告げられてしまった。

「え!? ど、どうして!?」
「だって俺嫌だよ、妻が一人海遊びするようなやつとか」
「ごめんなさい意味がよく分からないわ」
「考えてみてくれよ! おかしいだろ! 一人遊びとか、しかも海で!」
「普通よ……?」
「普通じゃねえよ! 海で一人遊びとか恥ずかしい行為なんだよ!」

 何もそこまで言わなくても……。

「てことだから、ばいばい」
「あ――」

 何か言おうとしたがなかなか言葉が出てこなくて。
 そうしているうちに彼は去ってしまって。
 私は一人浜に残され意味もなくその場に佇むこととなった。

「どう、して――」

 溢れた涙がこぼれる。
 粒ははらりと落ち。
 海面に混じり溶けて消えた。


 ◆


 私は運が良かった。
 というのも、ルガに婚約破棄された直後に、別の婚約話が舞い込んできたのだ。

 しかもその相手は領主の子息。

 悲しみの欠片は残ったままで、それでも、私は新しい縁を大切にすることにした。

「すみませんね、急に色々」
「いえ、いいんです。むしろ感謝しています、ありがたいです」

 私は行く。
 新しい道を。


 ◆


 こうして領主の子息と結ばれた私が幸せになれた。

 一方ルガはというと、あの後、ギャンブルにはまってしまってお金をすべて失ったうえ親の金にも手を出したことで親から縁を切られ、誰にも頼れず生きてゆくこととなってしまったそうだ。

 彼は今、貧しさに喘ぎながら生きているらしい。

 ま、もう無関係だが。


◆終わり◆
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