ある日のこと

四季

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前編

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 ある日のこと、ウタが一人でぼんやりしているとリベルテが飛んできた。
 リベルテは何やら妙に慌てている様子。時折顔を見に来てくれる時のような穏やかさはない。

「ウタ様! 来ていただくことはできませんか!?」

 リベルテは事情を説明するより先にそんなことを言った。
 戸惑うことしかできないウタ。

「え……っと、何事……?」
「主が負傷したのです、どうか励まして差し上げて下さい! 主のことですから、ウタ様の顔を見れば元気になるかと」

 そういうことか、と、ウタは少しだけ理解する。
 ウタとしても、ウィクトルが負傷したと聞いたら、さすがに放置しておく気にはなれない。リベルテがこうして来ているということは死にかけるほどの負傷ではないのだろうが、それでも状態が気になる。

「そうだったの! 分かった、行くわ」

 ウタはリベルテと共にウィクトルのところへ向かうことにした。


 ◆


 ウィクトルが入れられているという病室の扉の前にたどり着く。扉はスライド式のもの。ウタはすぐに扉を開けることを躊躇ってしまった。妙な緊張感があったから。が、数秒の思考の後、ようやく扉へと手を伸ばす。驚かすことがないよう、ゆっくりと扉を開けた。

 刹那、簡易ベッドの上で座る体勢をとっていたウィクトルとウタの視線が重なる。

 一瞬どきりとしたような顔をしたウィクトルだった。が、入ってきた人物がウタであると理解すると、穏やかに近い表情へと変わる。
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