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3話
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「お水、汲んできました!」
「ありがとう」
あれから三年、私は今も森の中の家にてかつて命を救ってくれた彼と共に暮らしている。
あの時はしばらくのつもりだった。
何も一生そこに居座るつもりなんてなかったのだ。
けれども二人での暮らしの中で距離はどんどん縮まって、気づけば私たちは特別な二人になっていっていた。で、その果てに、彼から「共に生きたい」と言われて。私はそれを受け入れた。そうして今日に至っている。
「この桶はここでよかったですか?」
「ああはい、そこで大丈夫ですよ」
「はーい。では次、木の実、とってきます!」
「一人で大丈夫?」
「はい! 鈴持ってますし!」
「気をつけてくださいね」
私は彼と共に生きてゆきたい、これから先もずっと。
それが素直な思いだ。
きっといつまでも揺らぐことはない。
そう信じられる。
「戻りました!」
「おかえりなさい」
今日も、明日も、そしていつまでも――遠い未来でも。
「たくさんとれました! えーっと……これと、これと、これ、とー……あっ、あとこれも!」
「想像以上に多いですね」
きっと彼とこうして笑っている。
そう信じて歩いていたい。
「……駄目でした?」
「いやいや、そんな話ではないですよ」
「そうですか、なら良かった、安心しました」
「では洗いましょうか」
「はい!」
「休んでいて構いませんよ」
「いえいえ! 私もやります! 木の実洗い、この前習ったのでできます!」
「す、凄い熱量ですねー……」
たまには苦笑されてしまうこともあるけれど。
でも、それでも、私は突き進み続ける。
ちなみに。
これは後に噂で知ったことなのだが、妹と私の元婚約者である彼の結婚は上手くはいかなかったようだ。
結婚式の開始直前、元婚約者の彼にかつて騙されたという女性数名が現れて式場に火を放ったそうで、それによって新郎新婦はもちろん式に参加していた者も大勢亡くなる大事件となってしまったそうだ。
二人の最期は悲劇であった。
◆終わり◆
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