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1話
しおりを挟む妹ルイーナは甘やかされて育ってきたためにわがまま娘である。
「お母さま! 早くお茶を淹れて! 喉が渇いているの、このあたしを一体いつまで待たせるつもり?」
「はいはい、淹れるわ。ちょっと待っていて」
「おっそーい!」
「ええ、ええ、ごめんなさいね」
「もーっ、これだからお母さまは! ほーんと、遅いのよ。いい加減にしてよ!」
彼女は幼い頃から可憐な容姿も持ち主だった。
それゆえ両親や親戚など周囲の大人たちから大層甘やかされて育った。
その結果、誰にでも偉そうな物言いをするような娘になってしまった。
「ちょっとお父さま、今週のお小遣い、少なすぎるわ。どうなってるの? 札、十枚くらい少ないと思うのだけれど」
「え。や、あ……あ、えと……」
「間違いじゃないの!?」
「で、でも、先週倍にしたから……その……」
「いいからいつも金額に増やして! さっさと! ほら、出しなさいよ!」
「あ……あ、ああ、そうだね、うん……はい、これ」
そんなルイーナの頭には躊躇などという発想はない。
欲しいものはどんな手段を使っても手に入れる。
それが彼女の生き方である。
そんなだから、私はかつて婚約者を奪われた。
今から一年ほど前、私には、仲良しな婚約者がいた。名はモードリットといったが。彼と私は仲良く将来を見つめていた――のに、ルイーナが彼に裏で近寄り私の悪行を吹き込んだうえ、彼を酔わせて既成事実を作って無理矢理ぶんどったのである。
あの時ルイーナが「だってぇ~、もう、そういう関係になったんだも~ん!」と言った時の勝ち誇った顔は今も忘れられない。
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