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プロローグ
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あれはまだ私が母と二人で暮らしていた、七歳の時のこと。
激しい雨の日だった。私はちょっとしたことで母に厳しく叱られ、嫌になって家を飛び出ていった。呼び止めようとする母の叫び声が微かに聞こえたが、私は振り返らなかった。その時は振り返りたくなかったのだ。
私は大雨が降る中、ぬかるんだ地面をあてもなく駆けた。
どこへ続く道か分からない。それでもいい。とにかく母に叱られなければ構わない。このままどこか遠くへ——。
ちょうどその時、目の前に湖が見えた。この世とは思えないほど美しく透き通った湖。私は目を奪われていたせいで足下の小さな石に気付かず、つまづいて転んだ。首にかけていたネックレスが一瞬にして湖の方へ飛んでいく。そして、その中へ落ちた。
「あっ……!」
私は慌てて立ち上がり泥がこびりついた足のままで湖へと走る。
誕生日に母からもらった、八の字の印が入った大切な水晶玉のネックレス。探さなくては。そう思い手を入れた泉の水は、冬でもないのに、妙にひんやりとしていた。それに思っていたより深そうな感じ。
水晶玉を必死に探しているうちに、気が付けば結構身を乗り出してきていたらしく、バランスを崩した私は湖へ頭から落ちた。
息が出来ない。かといって、泳ぐことも出来ない。足が下に届かない。
もう駄目だ。ここで死ぬ運命かと諦めそうになる。暴れても沈んでいくばかり。
手を伸ばしても、水面はもう遠い。
——黄金の龍。
意識が朦朧とする中、私が最後に見たのは、光沢のある金色をした龍だった。薄れていく意識の中で見たものだから、それが現実なのか幻を見ているのかはっきり分からなかったが、その姿から龍であることだけはなんとなく分かった。
きっと幻だと思う。けれど、その美しい青緑色の瞳は、脳裏にしっかりと焼き付いて離れなかったのだ。
激しい雨の日だった。私はちょっとしたことで母に厳しく叱られ、嫌になって家を飛び出ていった。呼び止めようとする母の叫び声が微かに聞こえたが、私は振り返らなかった。その時は振り返りたくなかったのだ。
私は大雨が降る中、ぬかるんだ地面をあてもなく駆けた。
どこへ続く道か分からない。それでもいい。とにかく母に叱られなければ構わない。このままどこか遠くへ——。
ちょうどその時、目の前に湖が見えた。この世とは思えないほど美しく透き通った湖。私は目を奪われていたせいで足下の小さな石に気付かず、つまづいて転んだ。首にかけていたネックレスが一瞬にして湖の方へ飛んでいく。そして、その中へ落ちた。
「あっ……!」
私は慌てて立ち上がり泥がこびりついた足のままで湖へと走る。
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水晶玉を必死に探しているうちに、気が付けば結構身を乗り出してきていたらしく、バランスを崩した私は湖へ頭から落ちた。
息が出来ない。かといって、泳ぐことも出来ない。足が下に届かない。
もう駄目だ。ここで死ぬ運命かと諦めそうになる。暴れても沈んでいくばかり。
手を伸ばしても、水面はもう遠い。
——黄金の龍。
意識が朦朧とする中、私が最後に見たのは、光沢のある金色をした龍だった。薄れていく意識の中で見たものだから、それが現実なのか幻を見ているのかはっきり分からなかったが、その姿から龍であることだけはなんとなく分かった。
きっと幻だと思う。けれど、その美しい青緑色の瞳は、脳裏にしっかりと焼き付いて離れなかったのだ。
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