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3話
しおりを挟む悲しみの中にいた私に降り注いだ意外な出会い。
「駄目、ではないですけど……」
「ではお礼させてください!」
「は、はい……ではお言葉に甘えて」
「ありがとうございます!」
こうして始まった王子フォルフィとの関係は、いつしか特別なものへと発展してゆく――そして私たちは結ばれたのだった。
◆
「まさか本当にフォルフィさんと結ばれることになるなんて、少しも予想していませんでした」
「あはは、そうですか?」
王子フォルフィと結ばれた今、私は心穏やかな日々を生きることができている。
「けど……こうして貴方と一緒になれて嬉しいです」
彼が私を選んでくれて良かった。
「それは本心ですか? もしかして、本心では嫌だったのでは……?」
「まさか。そんなはずありません。私は貴方を心の底から愛しています。本当ですよ?」
「ありがとう、そう言っていただけると何よりも嬉しくて。自分が王子だから無理を言ってしまったのではとつい思ってしまうので」
「そんなの関係ないですよ」
「なら良いのですが」
こうして誰かと笑い合える幸せ。
今はただそれを噛み締めていたい。
ちなみにエルグナーとあの女はというと、結婚しようとするも結局上手くいかずに破局してしまったそうだ。
というのも、婚約期間中にエルグナーが他の女に手を出してしまったそうなのだ。
それによって女は激怒。
何度も謝るエルグナーだが時既に遅しで、そのまま婚約破棄を言いわたされてしまったのだそう。
そうして二人は離れることとなってしまったそうだ。
また、その件によってエルグナーの悪評はさらに広まることとなり、エルグナーは社会的に半分終わったような状態となってしまったのだとか。
ただもちろん彼だけではなく。
女もまた『婚約破棄させてまで奪った男に浮気されて婚約破棄を告げた女』として有名になってしまい、皆から笑われながら生きていくことになってしまったそうだ。
◆終わり◆
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