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2話
しおりを挟む悲しみの波に襲われる。
それでも私にはこうする選択肢しかなかった。
だってそうだろう? 他にどんな道がある? 彼にしがみつくことなんてできないし、怒ったところで何かが変わるわけでもない。何なら負の方向へ変わるだけだ、きっと。馬鹿にされるか、嫌われるか、そのあたりしか想像できない。
それゆえ離れるしかないのだ。
結局私にはそれしか選べない。
◆
エルグナーから婚約破棄を言いわたされた日から数日、私はずっと家で泣いていた。
それしかできなかったのだ。
その時の私にできることなど他にはなかった。
が、そんなある日の散歩中、路上で倒れている青年を助けて――それが隣国の王子フォルフィとの出会いとなった。
「助けてくださってありがとうございました」
最初は彼が王子だなんて知らなかったのだけれど。
「いえ、ご無事で何よりです」
喋っているうちに判明した。
その隣国というのは、土地の大きさとしては小さな部類の国なのだが、金が大量に発掘できる山を抱えているということもあってかなりお金持ちな国である――確かそんな風に習った気がする。
「感謝しています。できればお礼も……させていただきたいと考えているのですが、可能でしょうか?」
「いえいえ、お礼なんて不要です」
「ですが……どうしても、お礼をさせてほしいのです。こちらの望みとして。それも……それでも、駄目でしょうか」
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